暗い海の中を漂う、透明な体を持つ不思議な生物。内部には鮮やかな赤やオレンジ色の器官が浮かび上がり、細長い触手が水中に伸びている。
まるでSF映画に登場する架空の生物のようだが、実際に深海で撮影された生き物だ。
米カリフォルニア州のモントレー湾水族館研究所(MBARI)は10月22日、深海に生息するクダクラゲの仲間「バルグマンニア属」について、新たに2種の新種を確認したと発表した。
発見されたのは、オレンジ色の伸縮する胃を持つ「バルグマンニア・マルレナ(Bargmannia marlena)」と、燃えるような赤い体が特徴の「バルグマンニア・ピローサ(Bargmannia pyrosa)」だ。
MBARIが公式Instagramで公開した映像には、透明な体を波打たせるようにして、暗い海中を進むクダクラゲの姿が映っている。
クダクラゲはクラゲやサンゴに近縁の刺胞動物で、複数の個体が役割を分担しながら、一つの群体として生活するという特徴を持つ。
その姿は一匹の動物のようにも見えるが、泳ぐための部分や餌を捕らえる部分など、異なる役割を持つ個体が集まってできている。
今回調査されたバルグマンニア属は、数十個の釣鐘状の遊泳器官を連動させ、水を噴射することで海中を移動する。
研究チームは、MBARIが水中ロボットで撮影した映像や博物館に保存されていた標本を調べ、DNAの解析結果と組み合わせて種類を詳しく調査した。
その結果、MBARIの映像記録から7種、博物館の標本からさらに1種の計8種を確認。このうち2種が、これまで科学的に知られていなかった新種だった。
新種のバルグマンニア・マルレナは、カリフォルニア湾の水深約1113メートルで撮影されている。一方、バルグマンニア・ピローサは同じくカリフォルニア湾の水深約1696メートルで記録された。
研究では、これら8種が大きく2つの進化系統に分かれ、生息する海域が重なっていても、水深によって分布に違いがあることも明らかになった。
広大な深海には、まだ知られていない生物が数多く存在すると考えられている。今回の発見は、その多様性の一端を明らかにするものとなった。