<先日、上海で行われた国際自動車レース「チャイナGT」で、現場スタッフが衝突事故で炎上した車を放置して逃げる映像が世界を驚かせた。安価に外注されたスタッフの質の問題だが、中国では安易なアウトソーシングが横行し、実害が発生している>

9月上旬、中国・上海で開催された自動車レース「チャイナGT選手権」で多重衝突によって一台の車が炎上し、車内のイギリス人レーサーが取り残される事故が起きた。この事故で多くの人の目を引いたのは、炎上した車からレーサーを救い出したのが現地の救援スタッフではなく、レースに参加していたオランダ人レーサーだったことだ。

映像には、現場のスタッフが消火活動をせず、駆け付けたオランダ人レーサーに消火器を手渡して自分は後ろに逃げる姿が映っていた。そして火災発生から救急車が現場に到着するまで約6分もかかった。

本来、国際的なレースのコース脇には専門的な訓練を積んだスタッフが立っているべきだ。しかし、今回のチャイナGTでは運営側が多重下請けを使い、日給わずか60元(約1400円)で素人の短期アルバイトを配置していたという情報が拡散されている。

中国では近年、警備・建築・物流・消防・設備管理・イベント運営などさまざまな分野で「外包(外注)」が広がっている。専門会社に仕事を任せることで効率も高まるから、外注自体は悪いことではない。問題は多重下請けやコスト削減を理由に、本来プロがすべき業務を素人に任せている点だ。

今回のレース事故対応は決して例外ではない。建築業界では多重下請けやコスト削減のため素人に任せきりにした結果、鉄筋やセメントをケチった「豆腐渣工程(おから工事)」が横行し、学校校舎や橋が突然崩落する悲劇が続いている。食品業界でもコストや仕入れ値を浮かせるために、有害な化学物質を運んだ直後のタンクローリーでタンク内を洗浄せず食用油を運搬したり、下水溝からすくい上げた「地溝油(ドブ油)」を飲食店に横流しする人為的災害が近年も多発している。

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