スティーブン・スピルバーグ監督は頭も体も若々しく、79歳という年齢を感じさせない。それでも最近の作品には、マーティン・スコセッシの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』と同じく、最後の1本になるかもしれないとの思いがにじむ。

2022年の『フェイブルマンズ』では、多くの作品に見え隠れした子供時代の心の傷を正面から描いた。自ら語れるうちに原点を語っておかねば、という気持ちがうかがえる自伝的な映画だ。

最新作『ディスクロージャー・デイ』では、ライフワークともいえるテーマ──地球外生命体の存在──に回帰しつつ、10代から抱いてきた情熱に別れを告げているようでもある。いわば、60年余りつづり続けた文章にピリオドを打つSF超大作だ。

スピルバーグの映画なのだから宇宙人が存在するのは当たり前だといわんばかりに、本作は観客をいきなり話の渦中に引きずり込む。

物語が始まる時点で、サイバーセキュリティーの専門家ダニエル・ケルナー(ジョシュ・オコナー)は既に勤務先のワーデックス社から宇宙人の存在を示す証拠を盗んでいる。ワーデックスは政府の仕事を請け負う謎の企業だ。

さらなる機密情報を知ったダニエルは、真実を隠しておいてはいけないと思い立つ。もっとも、彼は宇宙人の存在について以前からある程度知っていたらしい。そしてこの映画によれば、そうした人は昔から大勢いた。

平凡な男の物語