※近年、激動の国際情勢を表現する語彙は、かつてないスピードで更新され続けています。Tech RightからCognitive Warfare、活人感、AI Slopまで――。ウェブ特集「いくつ知ってる? 世界を読み解くキーワード」では、その背景にある文脈とともに解説します。
FEOC(Foreign Entity of Concern 懸念される外国の事業体)
敵対国で生産・設計された部品・ソフトウエアの使用を制限する、アメリカの規則に使われる概念。
敵対国は規則によって異なるが、中国、ロシア、イラン、北朝鮮などを指す。バイデン政権下で成立したインフレ削減法(IRA)において、税額控除の対象となるEV車両の条件を策定する際、FEOCによる生産工程への関与を禁止したことで広まった。
2025年3月にアメリカは、通信機能を備えた自動車に外国の敵対勢力が不正アクセスすることで車両の遠隔操作が可能となり、安全保障上の脅威となるとして、中国およびロシアが関与する車両接続システム(VCS)と自動運転システム(ADS)の輸入・販売を禁止するコネクテッドカー規制を発効した。
さらに、メキシコを介した中国製品の流入を問題視するアメリカは、北米3カ国の自由貿易協定(USMCA)にFEOC要件を組み込もうとしている。日本企業を含む北米に進出する企業の多くは、自動車産業を中心に、中国で生産した部材をメキシコで加工し、アメリカへ輸出するサプライチェーンを有している。
多くの企業は、USMCAの下での無税での貿易を前提にサプライチェーンを組んでいるため、仮にFEOC要件の追加によってUSMCAを利用できなくなり、関税負担が生じれば大きな影響が出る。USMCAは26年7月に協定の見直し会合を行い、交渉は現在も続いている。
米中や米ロの対立を背景として強化される、アメリカの規則を理解する上で重要な概念だ。
[監修]
赤平 大寿
日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所調査部ディレクター。アメリカの通商政策を中心に調査・情報発信を行う。2015~17年、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の客員研究員。

※2026年9月22日/29日号「ニュースが分かる 国際情勢BUZZワード50」特集では、50のキーワードを一挙に解説。米中ネット社会を読み解くコラム、「次の時代」を考えるコラムも掲載しています。
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