現代史上最悪の犠牲者を出したテロを実行する計画は、驚くほどローテクだった。

2001年9月11日、国際テロ組織アルカイダのメンバー19人が実行した作戦で決定的な役割を果たしたのは、1億ドル以上もする旅客機ではなく、ハイジャックに使われたカッターナイフだった。

あの攻撃からテロ対策関係者が得た重要な教訓は、これほど壊滅的な暴力行為を実行するのに高度な道具や莫大な資金は要らないということだ。必要なのは、悪意と実行への執念、周到な計画、そして目の前にありながら見過ごされている弱点を突く能力だけだった。

アメリカと世界の多くの地域の針路を永遠に変えた悲劇から25年が過ぎた今、インターネットに接続できれば誰でも利用できる各種のテクノロジーが急速に進歩し、そうした弱点がもたらす危険は劇的に増大した。9.11同時多発テロが起きた頃はまだ黎明期にあったドローンやAIなどの技術が普及し、悪意ある者たちは大量破壊の手段をはるかに容易に手にできるようになった。

「最も大きな変化は、特定の1つの技術に起きたものではない」と、非国家主体による新興技術の利用を研究する国際安全保障の専門家ケリー・チャベスは本誌に語った。「暴力的非国家主体(VNSA)が、新たな戦争手段や従来より高度な戦争手段を利用できるという供給面での大変化が起きた」

チャベスが机上演習やシミュレーションでよく目にするのは、ドローンが満員のスタジアム上空から致死性の化学物質を散布したり、AIの力を借りたハッカーが重要なインフラを機能停止に追い込むといったシナリオだ。

「暴力的非国家主体」の中でも別格の存在
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