なお一人親世帯の多くは母子世帯だが、父子世帯の子もいる。<表1>によると、一人親世帯で暮らす10代は146万人ほどだが、そのうちの1割ちょっとが父子世帯の子だ。警察に検挙・補導された非行少年の数も、母子世帯と父子世帯に分けて見ることができる。両グループからの非行少年出現率を10代の年齢別に計算し、グラフにすると<図1>のようになる。

非行少年の出現率が最も高い年齢は、1980年代は14歳で、「思春期の危機」「中学校における管理教育への反発」などと言われていたが、最近では16歳となっている。高校入試のセレクションを終えた直後で、志望校に入れなかったことによる地位不満が起きやすい時期だ。
どの年齢でも一人親世帯からの非行少年出現率は全体よりも高く、さらに細かく見ると「母子世帯<父子世帯」となっている。あまり注目されることはないが、母子世帯と父子世帯の差も大きい。
常識的に言って、離婚で生活が荒れる度合いは母親より父親で大きいだろう。父親の場合、仕事中心になりがちで、子どもとの接触時間もあまり取れない。家事や育児も妻に任せきりなので、妻に去られて一人になると、子どものケアもままならない。企業も「育児は母親がするもの」という思い込みが強いので、シングルファザーのワーク・ライフ・バランスも阻まれやすい。こういうことが、年少の子の育ちに影を落とすことは十分考えられる。
最近は子育て世帯の年収が上がり、同世代の中でも「選りすぐり」の勝ち組などと言われるが、目を凝らすと要注意(要支援)層が存在することが分かる。今回取り上げた一人親世帯は、その典型だ。冒頭で示したように、今ではごく少数のマイノリティーではない。
特に経済支援が重要で、学費無償化等の政策をより一層進めるべきだ。「浮いた分を塾通いや習い事に充てるだけ」と言われることもあるが、学費の減免が生活(生存)に関わるような困窮世帯も存在する。冒頭の数字を再度示すが、母子世帯の年収中央値は200万円ちょっとだ。
父子世帯の困難は、「男は仕事で、家での育児は母親がするもの」というジェンダー観念が未だに根付いていることにもよる。社会の闇(病み)は、凝縮される形で子どもの人間形成に影を落とす。
<資料>
総務省「国勢調査」(2025年)
警察庁「犯罪統計書」(2024年)
法務省「少年矯正統計」(2025年)