北朝鮮は8月20日、弾道ミサイルとみられる飛翔体を海に向けて発射し、結果としてドナルド・トランプ大統領の主張を裏付ける格好となった。新たな冷戦では、核武装したアメリカの敵対国は、そうでない国とは違う扱いを受けるということだ。
トランプは、北朝鮮が保有する核弾頭の数を公に明らかにした初のアメリカ大統領とみられる。トランプによれば、その数は57発。米科学者連盟(FAS)による最新の推計である60発とほぼ一致する。韓国は最大120発に達する可能性があるとしている。
だが、金正恩朝鮮労働党総書記が実際に何発の核兵器を保有しているかは、本質的な問題ではない。トランプ政権の関係者はこれまで何度も、アメリカが北朝鮮を核保有国として事実上認める方向に近づいていることを示唆してきた。公式には非核化という目標を掲げ続けているにもかかわらずだ。
トランプはなぜ、北朝鮮には長年融和的な姿勢を取りながら、イランには素早く攻撃を仕掛けたのか。そこには、新たな冷戦時代の論理がある。すでに核兵器を持っているなら、アメリカはその国との共存を受け入れる、という論理だ。
新たな冷戦の論理は、軍事力などのハードパワーと現実政治(リアルポリティーク)に根差した、かつての冷戦とよく似ている。そして、核保有国を相手にこうした現実的な対応を取るのは、アメリカにとって初めてではない。
ソ連の核兵器とその運搬システムに関する情報の機密解除を初めて進めたのは、民主党のジョン・F・ケネディ元大統領だった。すでに核武装したソ連を相手に、戦後のアメリカの政策は、戦略兵器の拡散を防ぐことから、その使用を抑止することへと軸足を移していった。