※2022年2月にロシア軍がウクライナに全面侵攻して始まった戦争は、一進一退の攻防が今も続く。歴史に類を見ない「ドローン戦争」の行方は――。連載「ウクライナ戦況報告」で報じ続けます。
10月17日、ジェット推進式の攻撃ドローン2機が黒海上空でNATO加盟国の領空を侵犯した。数分後、ルーマニア空軍のF-16戦闘機が空対空ミサイル「サイドワインダー」で2機を撃墜した。
NATO東部の加盟国では、ロシアのものとみられるドローンによる領空侵犯が相次いでいる。9月15日にはNATOの戦闘機がリトアニア上空でドローンを撃墜し、同月上旬には、エストニア南部に侵入した別のドローンを迎撃するため、戦闘機が緊急発進した。
NATOはこれらのケースで個々のドローンを撃墜できる能力を示してはきたが、それには多額の費用がかかる。ドローンが2機ではなく、20機、200機、さらには999機に増えても対応できるのか。999という数字は、今年、わずか1日でウクライナに実際に飛来したドローンの数だ。
本誌は、NATO連合航空軍副司令官のギヨーム・トマ中将やバルト諸国の防空担当幹部、航空戦力研究者に取材し、NATOがこうした大規模攻撃にどこまで備えているのかを探った。
爆発物を搭載した安価なドローンは、ウクライナや中東で深刻な被害をもたらし、高度な防空網さえ突破できることを示してきた。こうしたドローンを迎撃するために、高価な戦闘機を飛ばし、1発数十万ドルもするミサイルを使うのは経済的に非効率だ。
それでも、民間人や重要インフラの保護は費用より優先されるとトマは強調する。「住民や重要インフラ、とりわけ民間施設に危険が及ぶ場合、われわれはためらわずに戦闘機を投入し、必要ならミサイルを使ってドローンを撃墜する」