<ロシア制裁法が定める最初の制裁期限を前に、トランプ大統領がプーチン大統領との燃料取引で合意した。超党派で対ロ強硬策を求める米議会と、融和姿勢を見せる大統領。一方で米財務省はロシアの制裁逃れに厳しい措置を発動した。政権内外で交錯する思惑と、矛盾に映る米外交を考える>

ドナルド・トランプ大統領がウラジーミル・プーチン大統領と、ディーゼル燃料の輸入で合意した。しかも、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「大統領の資格がない」と非難した。

これは、ロシア制裁法により、トランプ大統領が最初の制裁義務を果たす期日まであと数日というタイミングで起きた。

法律の正式名称は「リンゼー・O・グラム・ロシア・イラン制裁法」(拙記事参照)。この厳しい法律が上院と下院を通過して施行されたのは、9月18日のことだった。7月に急逝したリンゼー・グラム上院議員(共和党)が、民主党議員と超党派で、執念で実らせた法律だ。彼は「最後のネオコン・タカ派議員の1人」と呼ばれていた。

この法律には、一種の「時限爆弾」のようなものが盛り込まれている。成立から30日以内、10月19日までに、大統領はロシアの金融機関に対して、最初の特定の制裁を科すことが、主要な要件の1つとして求められているのだ。例えば、ロシア中央銀行および主要な国営系銀行などを対象とした、特定の取引禁止や資産凍結などの制裁を義務付けている。(※18日が日曜日のために19日になったと思われる)

そのため、超党派の上院議員団は7日、マルコ・ルビオ国務長官とスコット・ベッセント財務長官に対し、期限を前に法律を厳格に履行するよう求める書簡を送り、法律の履行を大統領に迫っている。下院でも超党派議員による同様の動きがある。そんな折、まるで議会を逆なでするかのような親ロ・反ウクライナ的な言動である。

ロシアに融和的な策ばかり口にするトランプ

法律の定める制裁は、文言通り厳しいものになるのか、選択的なものになるのか、それとも適用除外を発動するのか。見通しは悲観的にならざるを得ない。

書簡は公開されていないが、ABCニュースによると、議員団は数百隻に及ぶ「影の船団」の摘発に加え、上海など海外の銀行支店や、拡大するキルギスの金融網への対策を政権に求めたという。これは中国に残った最後のロシア系銀行VTBを意味していると言われている。さらに、宇宙軍事能力や軍民両用技術などへの制裁、投資・国債規制も求めている。

CNBCの番組に出演したペンシルベニア大学のジェレミー・シーゲル名誉教授(金融論)は、「トランプは悪魔と取引したようだ」「これは決して恒久的な解決策ではなく、絆創膏(一時しのぎ)にすぎない」と述べた。

娘婿クシュナーは水面下で協議
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