<11月の中間選挙が迫るが、トランプの支持率は歴代大統領の最低水準に近づいている。そして、地名や施設名を「アメリカファースト」「トランプファースト」に変える「命名ゲーム」も、嘲笑の対象になりつつある>

講義のためにカザフスタンを訪れたときのこと。私が降り立ったのは、退任したばかりの初代大統領のファーストネームを冠した都市だった。到着した空港にはその大統領の姓名が、講義をするため向かった大学には姓が付いていた。これぞトランプ米大統領が夢見る世界。もし全てが思いどおりになるのなら、ほぼ全ての重要なランドマークにトランプの名前を付けそうだ。

一見すると子供じみた衝動に思えるが、この「命名フェチ」の背後には政治ドラマと劇場性という別の心理も働いている。私は若い頃に通っていた理髪店で、伝説的な投資ファンド創業者デービッド・ルーベンスタインをよく見かけた。私は彼の驚異的成功だけでなく、安定と冷静さを体現しているかのようなたたずまいにも魅了された。

それから10年後、資産を急増させたルーベンスタインは国のために記念建造物を修復し、歴史的資料を購入する「愛国的慈善家」となり、アメリカで最も権威ある組織の理事を歴任した。その頂点ともいえるのが、ワシントンの文化施設ケネディ・センターの理事長だった。

ところがトランプは大統領に復帰するとすぐ、同センターの理事会を一掃。忠実な側近に入れ替えた。そして案の定、センターに自分の名前を付け、公演出演者の大量辞退を引き起こした。その後、裁判所は違法な名称変更を認めない判断を下した。訴訟費用がかさみ、売り上げも落ち込んだ同センターの理事会は、不要な「改修」を口実に施設を事実上閉鎖した。名称変更を認めなかったことに対する明らかな報復だ。

トランプの支持率は歴代大統領の最低水準に
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