<トランプの執拗なメディア叩きは自身に対する不満の高まりと、中間選挙で共和党が敗北する可能性を示す世論調査から目をそらすのが目的だ>
トランプ米大統領がアメリカの有力報道機関であるMS NOW(旧MSNBC)、CNN、ポリティコをホワイトハウスから締め出したことは、報道の自由と言論の自由に対する露骨な攻撃と言える。
しかし、トランプはこれまでも一貫してアメリカの民主主義を支える法律や規範を攻撃してきた。その結果、トランプのこうした行為は、少しの間だけニュースをにぎわせるが、すぐに次の新しい「トランプの暴走」に話題が移ってしまう。
それに輪をかけて気がかりなのは、報道機関に対するトランプの敵意が長い政治的系譜に連なるものだということだ。独裁者は反対意見を抑圧しようとし、まずは報道機関を抑え込むことから始める。加えて、トランプのメディア批判は、11月の中間選挙を前に、政権が直面する政治的な問題や苦しい選挙情勢から人々の目をそらすための使い古された手法でもある。
トランプは決して「思想家」と呼べるような人物ではないが、メディア攻撃は珍しく一貫した政治的思想に基づいている。
トランプは、自分がどれだけ富と権力を手にしても、アメリカの金融、政治、社会のエリート層から「下品」と見なされていることに、常に激しい怒りを抱いてきた。メディアの批判は、自分を見下す行為であり、自らの権力を脅かす。だから抑え込まなくてはならないと考えるのだ。3月には、イラン戦争の報道に関して「フェイクニュースメディア」は「反逆罪で訴追されるべきだ」と主張している。
トランプは、いわゆる「ディープステート(影の政府)」に「人民」を代表して対抗できるのはリーダーである自分だけだという考え方を本能的に信奉している。これは、全ての政府機関やエリート層は「人民の敵」だとするファシズム的な妄想であり、トランプは10年前からメディアについてこの表現を使い始めた。