<ドリー・パートンは読み書きの壁を壊そうとしていた>
[ロンドン発]大ヒット曲「ジョリーン」「9時から5時まで」「オールウェイズ・ラブ・ユー」をはじめ3000曲以上を手がけた「カントリーの女王」ドリー・パートンさんが80歳で亡くなり、感情表現豊かな美しい歌声以外にも彼女が残した功績に感謝する声が後を絶たない。
全世界でレコード1億枚以上を売り、グラミー賞も11回(生涯功労賞を含む)受賞したパートンさんは生前「どこへ行っても、子どもたちは私を『ブック・レディ(本のおばさん)』と呼ぶのよ」と誇らしげに語っていたと米紙ロサンゼルス・タイムズ(8月26日付)は伝える。
1995年に立ち上げたプログラム「イマジネーション・ライブラリー」を通じ米国、カナダ、英国、オーストラリア、アイルランド5カ国の子どもたちに3億1800冊の本を送り届けた。子どもたちの識字能力向上への貢献が大切という信念がパートンさんにはあった。
読み書きができなかったことが夢の実現を阻む
パートンさんは自分の父を「自分が知る中で最も聡明な人」と尊敬しつつも教育機会に恵まれず読み書きができなかったことが夢の実現を阻んだのではという思いを胸に抱えていた。子どもたちが家庭環境に左右されず子どもの頃から本に親しめる環境をつくろうと事業を立ち上げた。
生まれてから5歳の誕生日を迎えるまで毎月1冊、年齢と発達段階に合わせた質の高い絵本を自宅に届ける仕組みを構築。米国全土に広がった運動は海を越え、2007年には英サウス・ヨークシャー州ロザラムでもプログラムが始まった。
英紙ガーディアン(8月29日付)によると、かつて炭鉱や鉄鋼業で栄えたロザラムの産科病棟をパートンさんが突然訪れ、前日に生まれたばかりのエマさんを優しく抱きかかえた。エマさんに贈られたサイン入り『ピーターラビットのおはなし』が英国での1冊目となった。