商船三井<9104>など海運大手の株価が連日で高値を更新し、株式市場で注目を集めています。「なぜ今、海運株が?」と不思議に思う方もいるでしょう。

かつて海運株といえば、世界景気や市況の波に左右されやすい「景気敏感株」の代表格、といったイメージが市場では根強くありました。足元の株価上昇の背景には、中東情勢に端を発する構造的な理由のほかに、思わぬ「気象」による市況の変化があります。

中東情勢とエルニーニョで運賃上昇

海運株の株価上昇の背景には、海上輸送にかかる運賃の上昇があります。その要因となっているのは、世界的な物流の混乱と、それに伴うコンテナ輸送費の高止まりです。

アメリカ・イスラエルとイランの戦闘拡大などにより、中東周辺の海上交通の要衝で緊迫した情勢が続いています。特に、主要ルートであるスエズ運河は安全確保が難しくなり、世界の大手船会社はアフリカ大陸の南側を回り込む喜望峰ルートへの大迂回を余儀なくされています。

航路をアフリカ回りに変更した場合、アジアとヨーロッパを結ぶ片道の航海日数は1週間から2週間ほど延びてしまいます。移動にかかる時間が増えるということは、それだけ稼働できる船の数が実質的に不足することを意味します。

さらに、運航距離が延びたことで燃料費がかさみ、危険海域を避けるための海上保険料も跳ね上がりました。こうした船会社側のコスト増加が運賃に転嫁され、コンテナ輸送のスポット運賃が高水準で推移し続けているのです。

■パナマ運河は水不足で通航規制

物流の滞りを深刻にしているのは地政学リスクだけではありません。実は、地球規模の気候変動も大きな影を落としています。

世界的なエルニーニョ現象などの影響で降水量が大幅に減少し、中米のパナマ運河では深刻な水不足が発生しています。パナマ運河庁は船の沈み込みを抑えるための喫水制限や1日あたりの通航隻数を減らす通航規制を実施しており、通過待ちの船による停滞が慢性化しています。

パナマ運河はアジアとアメリカ東海岸を結ぶ物流の大動脈です。ここでの制限が長期化することで荷物の到着が遅れ、船のやりくりをさらに窮屈にさせています。中東での航路迂回と、中米での通航制限という2つのボトルネックが同時に重なったことで、世界の海上輸送網は混乱しているのです。

海外大手も好決算。商船三井は上場来高値へ
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