2021年秋、数万人規模のロシア軍部隊がウクライナ国境付近に集結し始めたころ、ジョー・バイデン米大統領は懸念を抱いていた。通常の軍事演習には見えない。何か手を打つべきではないか──そう考えた。

バイデンは当時のCIA(中央情報局)長官ウィリアム・バーンズをモスクワに派遣した。駐ロシア米大使を務めた経験もあるバーンズが携えていたのは、メッセージと警告だった。

われわれはあなた方の軍備増強を監視している。あなた方がやろうとしているとわれわれが考えていることを実行するな、というものだ。

その結果がどうなったかは、誰もが知っている。

そして今、歴史は繰り返されようとしているのか、と問わなければならない。CIAのジョン・ラトクリフ長官は今週、事前発表なしでロシアの首都モスクワを訪問した。ウクライナでの戦争やNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対するさらなるエスカレーションを避けるよう、ロシア政府に警告することが目的だったと報じられている。

もちろん、ウラジーミル・プーチン大統領本人がその場にいたわけではない。ラトクリフと会談したのは複数の安全保障当局者で、彼らが後にプーチンに警告の内容を報告した。だが、仮にプーチンと直接対面していたとしても、何か意味のある違いが生じたとは考えにくい。

ウクライナへの全面侵攻につながった根本的な対立は、今なおまったく解消されていない。NATOは依然としてロシアを侵略者とみなし、欧州諸国には自らの安全保障体制を選択する権利があると主張している。一方、ロシアはこれをNATOの拡大と捉え、西側諸国がロシアの近隣国を軍事的に取り込むことは、ロシアそのものへの脅威だと考えている。

それなのに、別のCIA長官による新たな警告が、今度こそ問題を解決すると考える理由がどこにあるのだろうか。

変われば変わるほど、変わらないもの
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