1990年代から携帯電話(もはや懐かしい名称だ)が普及し始め、21世紀に入るとそこにインターネット接続機能が備わった。そして2007年にiPhoneが登場して以降、スマホが急速に浸透した。

そうした中で携帯・スマホ利用に伴う多様な社会心理的現象に広く関心が集まり、その流れが現代にまでつながっているわけである。『スマホは心を操る』(木村忠正・著、朝日新書)の著者によれば、そのような流れは学術的にも研究されるようになった。

『スマホは心を操る』

例えば本書の冒頭では、私たちの日常感覚と深く結びついた4つの現象が紹介されている。

まずは、スマホの電源が切れる、置き忘れる、通信が途絶えるといった状況に強い不安を感じる心理状態である「ノモフォビア(Nomo-phobia)」。これは「no mobile phone phobia」の略語で、つまりは“モバイルフォンがないことへの恐怖”だ。

2つ目は、「fear of missing out(取り残される恐れ)」の頭字語であるFOMO(フォモ)。「他者が経験している価値ある出来事を、自分が経験できていないことへの恐れや焦り」を意味している。

3つ目は、「スマホがポケットの中で震えた気がして取り出してみると、実際には何も通知は来ていなかった」というような現象を指す「幻想振動(Phantom vibration)」。

そして4つ目は、「phone(スマホ)」と「snubbing(冷たくあしらう)」を組み合わせた造語である「ファビング(Phubbing)」。誰かと一緒にいる場面で、相手との会話そっちのけでスマホに視線を落としてしまう行動のことだ。

著者によればこういった現象は、私たちの注意、時間、人間関係のあり方が変わり、心理や行動が深く影響を受けていることを示唆している。そして、その背後には、スマホが私たちの注意や感情、行動のクセを巧みに利用する仕組みがある。

 本書では、最新の研究や実際の利用データを手がかりに、この仕組みを具体的に解き明かします。そして、なぜやめたいのにやめられないのか、ネット上はなぜこんなに炎上やフェイクに溢れている(ようにみえる)のかを解きほぐしながら、スマホに支配されるのではなく、自分の生活に合った使い方、自分の心を取り戻すための考え方と具体的な工夫を提案します。(「はじめに」より)

なぜ「気づけばスマホを触っている」のか
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