<ハーバード大学経済学部のレベッカ・ダイアモンド教授が「やせ薬」を利用して「肥満ペナルティー」の本質の解明に挑んだ>
[ロンドン発]全米経済研究所の研究員でハーバード大学経済学部教授のレベッカ・ダイアモンド氏は、就職市場と恋愛・婚活市場においてとりわけ肥満女性が著しい経済的・社会的不利益を被る「肥満ペナルティー」の研究に取り組んだ。
肥満女性が就職や結婚で困難に直面し、低賃金に苦しんでいる事実は存在するものの、「肥満が不利益をもたらしている」のか「不遇な環境や健康悪化が肥満をもたらしているのか」という究極の問いは謎のまま残されてきた。
さらに「肥満ペナルティー」が「就労者の実質的な健康状態や生産性の低さ」から来るのか、それとも新規の採用面接や出会いの場における「他者からの第一印象に基づく選別や差別」に起因するのかも未解明だった。
独り身女性の結婚やパートナーとの同居率は28.6ポイント上昇
ダイアモンド氏は「やせ薬」として爆発的に普及するノボノルディスク(デンマーク)やイーライリリー(米国)のGLP-1受容体作動薬の効果を追跡し、女性の「肥満ペナルティー」の謎に迫った。調査の対象になったのは米国の25〜61歳女性1万85人だ。
「やせ薬」を投与後、女性のBMI(ボディ・マス・インデックス)は一律に低下し、1年半以上経過した時点で2.7〜4.2ポイント減少した。開始時は独り身だった女性の結婚やパートナーとの同居率は18.3ポイント上昇。1年半以降は28.6ポイントの上昇を示した。
「やせ薬」効果は体重の減少ペースに合わせて拡大。開始時に配偶者や同居パートナーがいた女性がその後、関係解消に至った割合は0.5ポイントと実質的にゼロだった。仕事への影響は結婚市場とは異なる結果が出た。