Dave Graham

[チューリヒ 12日 ロイター] - スイス政府は12日、銀行部門の金融安定性強化を目的とした規制強化案に関する意見公募を開始した。2023年のクレディ・スイスの事実上の経営破綻を受けた措置の一環で、UBSに対する賞与規制の厳格化などが盛り込まれた。

政府案では銀行に対し、長期的かつ持続可能な業績を評価し、過度なリスクテイクを抑制する報酬制度の導入を義務付ける。特にクレディ・スイス買収後にスイスで唯一のグローバル銀行となったUBSなど、システム上重要な銀行に対してはより厳しい規制を適用する。

ケラーズッター財務相は会見で、今回の措置は報酬総額の上限設定を目的としたものではなく、銀行経営を責任ある長期的な成功へと向かわせることが狙いだと説明。「業績が低迷しているにもかかわらず報酬が支払われたり、責任を果たしていない人物に報酬が支払われたりすることに、国民が不満を抱くのは当然だ。この分野では介入が可能であるべきだ」と述べた。

政府は昨年、クレディ・スイスの問題を受けた「大き過ぎて潰せない(Too Big To Fail)」規制の見直しの一環として、こうした改革の方向性を示していた。現在議会ではUBSに対してより多くの自己資本保有を求める案を含む一連の法改正について審議が進められている。

ケラーズッター氏は、与党・中道右派の自由民主党内の一部議員がUBSの負担軽減を求めているにもかかわらず、自己資本規制の強化方針を維持している。

UBSは声明で「提案内容を精査する」とした上で、スイスの規制枠組み強化を支持する考えを表明した一方で、スイスの銀行規制は既に世界でも最も厳格な部類に属すると強調するとともに「規制変更は的を絞り、国際基準と整合的で、スイス国内で事業を展開する銀行の規模や複雑性の違いを考慮した均衡の取れたものであるべきだ」と訴えた。

今回の賞与規制案では、経営幹部や高額報酬受給者に対する業績連動報酬の相当部分について、数年間の支払い繰り延べを義務付ける。政府によると、国際的には通常4-5年程度が想定される。繰り延べ期間中に不正行為や損失が判明した場合、銀行は未払い賞与を減額または取り消さなければならない。不正行為が証明された場合には、既に支払われた賞与の返還を求めることも可能となる。

このほか従業員250人以上の銀行には、重要な意思決定に関する責任の所在を上級管理職へ明確に割り当てることを義務付ける。金融市場監督機構(FINMA)にはリスク発生時の早期介入権限を付与するほか、金融機関への制裁金賦課や、監督命令の履行遅延に対する罰則適用を可能とする。

スイス銀行協会(SBA)は規制案が行き過ぎているとして反発し、単一銀行の危機を理由として他の銀行にまで一律に規制強化を行うべきではないと主張。FINMAに与えられる権限が大幅に拡大されることへの懸念も表明した。

規制案にはこのほか、システム上重要な銀行の経営安定化・破綻処理計画に関する要件強化や、危機時の中央銀行流動性へのアクセスを容易にするため、スイス国立銀行(SNB、中央銀行)への担保差し入れ手続きの簡素化なども盛り込まれた。

意見公募は11月19日まで実施される。

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