Aditya Kalra
[ニューデリー 12日 ロイター] - インド最大の財閥タタ・グループの統括会社タタ・サンズのナタラジャン・チャンドラセカラン会長が12日、辞任を表明した。同グループを支配する慈善事業部門と対立し、自身の再任が取締役会で承認されなかったことを受けた措置だとした。
タタ・サンズは、IT(情報技術)サービスのタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)、自動車のタタ・モーターズ、エア・インディアなど30社以上を傘下に置く。そのタタ・サンズの66%を保有するのがグループの慈善事業部門タタ・トラストだ。
チャンドラセカラン氏は、取締役会の構成や経営戦略、エア・インディアの損失、少数株主のイグジット(資本回収)計画への対応などを巡りタタ・トラストと対立していた。今年2月、タタ・サンズはチャンドラセカラン氏の会長再任について、タタ・トラストのノエル・タタ会長が反対したため、決定を先送りした。
チャンドラセカラン氏は声明で、「あの取締役会から6カ月が経過したが、今日まで何も決着していない」と述べた。2027年2月までは会長職にとどまる意向を示した。「タタ・サンズは非常に巨大な組織であり、実行に向けて極めて重要な段階にある戦略的プロジェクトが多数存在する」とした。
関係者は、辞任は、タタ・トラストの対立が辞任の唯一の理由だと述べた、
チャンドラセカラン氏は1987年にインターンとしてTCSに入社し、昇進を重ねて09年に最高経営責任者(CEO)に就任。17年にタタ・サンズの会長を引き継いだ。
この1年、タタ・グループは、多数の死者を出したエア・インディア機事故、TCSでの価格引き下げ圧力、タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)へのサイバー攻撃など、数々の課題を抱えた。
タタ・サンズとタタ・トラストの対立による混乱は過去にもあった。よく知られるのが16年のタタ・サンズ取締役会によるサイラス・ミストリー会長(当時)解任。ミストリー氏が企業統治(コーポレートガバナンス)問題を巡りグループの総帥で創業家のラタン・タタ氏と対立したことが発端で、その後数年に及ぶ法廷闘争に発展した。