論文著者の1人でドレクセル大学教授のミーガン・ファイファー・リクシーは本誌の取材に対し、殺鼠剤への耐性が高まるにつれ、「殺鼠剤に耐えられる」ネズミの個体数も増えると指摘した。これは、耐性を持つネズミの方が、持たないネズミよりもはるかに生存能力も繁殖力も高いことによる。
「時間がたつほどそうした変異を持つネズミがどんどん増え、殺鼠剤が効かなくなるだろう」
抗凝血性殺鼠剤は、ビタミンKの働きを妨げることで血液を固まりにくくしてネズミに内出血を起こさせる。つまり、殺鼠剤に対する耐性の獲得は「血液凝固に関係する遺伝子の変化に起因する」とファイファー・リクシーは解説する。
変異が増えているのかどうか判断するにはデータが不十分だとしながらも、「変異が普通になっているのは確かで、害獣駆除の方法を見直す必要があることを示唆している」とファイファー・リクシーは言う。
抗凝血性殺鼠剤は1950年代初頭から普及した。しかし1958年には早くも耐性を示す事例が確認された。大半はヨーロッパだったが、アメリカ、カナダ、日本、オーストラリアでも報告されている。
1970年代から1980年代にかけては殺鼠剤の効果が著しく低下したため、さらに強力な抗凝血性殺鼠剤が開発された。しかし、これに対しても1981年には既に耐性を示す事例が報告された。
こうした化学物質がペットや人間、野生生物に及ぼす影響への懸念も強まっている。ファイファー・リクシーは殺鼠剤について、「我々が保護しようとしている野生生物(ネズミを捕食する鳥類など)にも影響を及ぼし、ペットなど駆除対象ではない動物にも影響し得る」と話している。
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