今、トレンドアイテムが「流行っている」実感が湧きにくい理由

代表例がベルボトム(裾広がりのパンツ)である。1970年代に大流行した後、80年代には姿を消したが、90年代後半から2000年代初めに復活。そして現在も再び人気が高まりつつある。

研究チームは150年以上前にさかのぼる裁縫型紙やランウェーコレクションからデータを収集し、独自ツールで視覚デザインを数値化。年代ごとの変化を分析可能にした。

この数学モデルの根底にあるのは、「他人と違いたい」という欲求と「集団に溶け込みたい」という欲求のせめぎ合いだ。あるスタイルがありふれたものになると、デザイナーや消費者はそこから離れようとする。しかし、あまりに極端な方向へ進めば実用性を失ってしまう。

「最近の流行との差別化を図ろうとする力が、時間とともにスタイルを振り子のように行き来させる」と、ノースウェスタン大学で工学科学・応用数学を教えるダニエル・エイブラムズ教授は語る。

「このシステムは本質的に振動したがる性質を持っている」

その典型例がスカート丈だ。過去100年の間に、裾丈は何度も短くなったり長くなったりしてきた。1920年代のフラッパードレス、1950年代の長めのシルエット、そして1960年代後半のミニスカートがその例だ。

一方で研究者たちは、1980年代以降のファッションサイクルが以前より複雑になっていることも発見した。データによると、異なるスカート丈が同時に流行するケースが増えており、トレンドが1つの主流へ収束するのではなく細分化していることが示唆されている。

「かつては短いドレスか長いドレスかという2つの選択肢しかなかった」とザイドラは言う。

「今は多くの選択肢が同時に存在している。ばらつきが大きくなり、同調圧力は弱まっている」

こうした細分化が、ベルボトムの再流行を含む近年のファッション復活現象が、かつてほど社会全体を席巻しているように見えない理由かもしれない。

数学モデルによれば、トレンドそのものは今も繰り返し戻ってくる。ただし現在は、復活した流行が数多くの別の流行と同時に存在しているのだ。

長らく姿を消していたスタイルがいつ戻ってくるのか気になるなら、その答えは意外に単純かもしれない。

およそ20年後──スカート丈の誤差はあるとしても。

【参考文献】

Zajdela, E., Abrams, D., Caticha, A., White, J., & Kohlberg, E. (2026, March 17). Back in Fashion: Modeling the Cyclical Dynamics of Trends. APS Global Physics Summit, Denver, Colorado. https://summit.aps.org/smt/2026/events/MAR-J62/6

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