コラム

ボンダイビーチ銃撃は「想定外」ではなかった ――オーストラリアを25年追い続けるテロの影

2025年12月24日(水)15時27分

脅威であり続けるテロ組織のブランド、イデオロギー

ボンダイビーチにおけるテロ事件は、こうした25年にわたる脅威の蓄積が、再び最悪の形へ先鋭化したものである。

今回の事件の最大の特徴は、ISがかつてのような「領域を支配する国家」としての力を失った後も、その「ブランド」や「反ユダヤ・反西欧イデオロギー」が、個人の憎悪や孤独を吸収するブラックホールとして機能し続けている点にある。


犯人が親子であったという事実は、過激化がもはやインターネット上のコミュニティだけでなく、家庭という密室の中で、当局の監視の目をかいくぐりながら進行し得ることを示唆している。

今日のオーストラリア、そして国際社会が直面しているのは、組織による具体的な暴力以上に、そのブランドやイデオロギーが依然としてサイバー空間、人々の脳裏に深く残っているという現実である。

プロフィール

和田 大樹

CEO, Strategic Intelligence Inc. / 代表取締役社長
専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論、経済安全保障、地政学リスクなど。海外研究機関や国内の大学で特任教授や非常勤講師を兼務。また、国内外の企業に対して地政学リスク分野で情報提供を行うインテリジェンス会社の代表を務める。

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