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対テロ優先から対中優先へ――9.11から読み解く米中関係の転換
新疆政策への波及効果
9.11後の協力ムードは、中国の国内政策にも影響を及ぼした。特に新疆ウイグル自治区での分離主義運動が、テロ対策の枠組みで扱われるようになった。
中国政府はウイグル族の武装勢力を「テロリスト」と位置づけ、国際的な正当性を主張した。米国がETIMをテロ組織に認定したことで、中国は新疆での治安強化を正当化しやすくなった。これにより、監視システムの拡大や抑圧的な措置が加速した。
9.11以前、欧米諸国は新疆の人権問題を厳しく批判していたが、テロとの戦いが優先される中で、その声はトーンダウンした。中国はテロ対策を名目に、再教育施設の設置や大規模な監視網を構築した。
これらの政策は、後年国際的に非難されることになるが、当時は米中の協力枠組みが中国に一定の余裕を与えていた。この点で、9.11は中国の国内統治に間接的な恩恵をもたらし、米中関係の協力が地政学的文脈を超えて影響を及ぼしたことを示している。
協力の限界と長期的な視点
しかし、この協力ムードは一時的なものであり、米中間の根本的な対立を解消するものではなかった。ブッシュ政権後期になると、中国の軍事拡大や南シナ海での主張が再び問題視され、緊張や対立の方向へ再び舵を切った。
オバマ政権の「アジア・ピボット」政策は、中国を戦略的競争相手として再定義し、米中関係の複雑さを露呈した。9.11による協力は、戦略的利益の一致に基づくもので、価値観の違いや長期的な目標の相違を埋めるものではなかった。
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