コラム

外していいよと言っても、外さない小学生。日本人はマスクをずっと着け続けるのか

2022年12月15日(木)19時35分
周 来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)
マスク社会

KIM KYUNG HOON-REUTERS

<社会の同調圧力、無責任な日本政府、政府より厳格な企業の対策。ウィズコロナってマスク社会のことだったっけ?>

東京では電車の中でも、マスクを着けていない人をちらほらと見掛けるようになった。彼らを白い目で見るマスク信仰派もいるが、かつての「マスク警察」は影を潜めたようだ。

それでも、「ノーマスク」に戻った国々と比べると、その差は歴然としている。

街を歩く人の大半がマスクを着け、大人も子供も会社や学校で口元を隠したまま生活している日本の日常は、言うなれば「ソフト・ゼロコロナ」。依然、コロナの呪縛から解放されていない。

日本のコロナ対策を中国の「ゼロコロナ」政策と比べるのはおかしいと言う人もいるだろう。

習近平(シー・チンピン)政権は、厳しい行動制限が伴うロックダウン(都市封鎖)で市民を苦しめた。その反動で11月下旬からは、ゼロコロナに反対するデモが中国各地に拡大し、習近平本人にまでその矛先が向けられるようになった。

そんな中国の状況はもちろん日本とは大きく異なる。

ただ、日本で生活していて思うのは「ウィズコロナ」って「マスク社会」のことだったっけ? ということ。いつまでマスク生活を続けなくてはならないのか。

100年前のスペイン風邪ですら3年で収束したのに、発生から間もなく3年がたつコロナ禍はいまだ終わりが見えない。

強制力を伴わないコロナ対策を行ってきた日本政府は、賢いけれど、ある意味無責任だ。同調圧力が強い日本社会では、これまでそれが功を奏してきた。

しかし現在は、厚生労働省が「屋外では季節を問わず、マスクの着用は原則不要です」という指針を出しているにもかかわらず、みんなマスクを着け続けている。

小学校の体育の授業では、教師が外していいと言っても、マスクを外さない児童が多いとも聞く。「周りの目があるから」だろう。

そんな同調圧力に加え、企業の対策は政府以上に厳格だ。商業施設では入り口で「マスクをご着用ください」と掲げる所が今も大半を占め、飲食店でも入店時はたいていマスク着用を求められる。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イスラエル、ラファ侵攻準備 民間人避難へテント調達

ビジネス

アングル:日銀会合直後の為替介入、1年半前の再現巡

ワールド

インドネシア中銀、予想外の0.25%利上げ 通貨下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story