コラム

石油が出る国なら、これほど発展しなかった──倹約国家ニッポンの実力とは?

2022年08月05日(金)11時59分
石野シャハラン

私は、日本が発展したのはエネルギー資源に乏しかったからこそだと考えている。資源が少ないからこそ、知恵を絞って1のものから100の価値をつくって利益を得ること、全員が真面目に働くこと、暖房を使いすぎず我慢することで、社会を富ませることに成功してきた。

日本が「掘れば石油やガスが出る国」だったら、世界第2位の経済大国になることはなかっただろう。そもそも、石油も出ないこの小さな国土で、1億2500万人もの人たちを食べさせているのだから、大したものである。

7月14日、岸田首相は最大9基の原発を今冬に再稼働させる方針を明らかにした。2011年の福島第一原発事故の際は、私も皆さんと同じように恐ろしい経験をしたので、原発再稼働に大賛成とはいかない。それでもドイツの天然ガスをめぐる混乱を見ていると、自国で何とかできるものはしたいと考えざるを得ない。

不幸にも地震が頻発する日本だが、今度こそ安全基準を厳格に守り、国民の幅広い理解を得て安心できる運用をしてもらいたい。資源の大切さが骨身に染みて分かっている日本にはそれができるはずだから。


toykyoeye_ishino_profile_w100.jpg石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran

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