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韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解消の一方、空洞化と失業が進む隣国の苦悩

2026年3月30日(月)20時00分
佐々木和義

ソウル中心部の空き店舗

景気後退で借り手がいないソウル中心部の空き店舗(撮影=筆者)

週4.5日制、与野党ともに賛成

与党・共に民主党は弾力的な労働時間短縮を提唱する。現行法では1日8時間、週40時間だが特定曜日を7時間とし、他曜日への振り分けなどで週36時間とする労働基準法改正案を提出した。最大野党・国民の力も36時間には同意するが週52時間に限定しない労使決定を可能とする改正案を提出した。

韓国の労働時間は週68時間まで認められていたが、2018年の労働基準法改正で300人以上の事業者は法定40時間、超過勤務最大12時間の52時間に制限され、21年7月以降、5人以上のすべての事業所に適用されている。労働時間が短縮したことで家族と過ごす時間が増えたと歓迎する会社員がいる一方、残業代が減ったと嘆いた会社員も少なくなかった。

最低賃金の高騰で空洞化が進む

さらに同時に進行した最低賃金の高騰も相まって空洞化と失業率の増加、国際競争力の低下をもたらした。

空洞化をもたらした筆頭はサムスンだ。携帯電話、家電、ディスプレイ工場をベトナムに建設、16万人を雇用するなどベトナム生産を拡大するとサプライヤーも相次いでベトナムに進出あるいは移転した。続いてポスコやLG、現代自動車など多くの企業がベトナム生産を拡大した。さらには韓国工場を閉鎖して、ベトナムに移転する中小企業も現れた。韓国内でも大手フランチャイズがタッチパネルの導入を推進し、タブレットオーダーシステムを導入する店や無人販売コンビニ、警備の機械化など「人減らし」が進行した。

週4.5日制の恩恵が届くのは、安定した雇用に就く会社員が中心だ。「事務職だけ勤労者扱いをしているようだ」──外食業者のこの言葉が示すように、制度の恩恵は業種によって大きく異なる。さらに半導体産業では日本や台湾、米国に加えて中国も参入し、「週52時間では国際競争に勝てない」という声も絶えない。労働時間の短縮が「誰のための改革か」を問う声は、現場の至るところから上がっている。

経済の空洞化が進み、自営業の廃業が年間100万人を超える韓国で、短縮された労働時間が本当の豊かさにつながるかどうか。その答えは、制度の設計だけでなく、誰を対象に、誰が支えるかという問いにかかっている。


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