「私たちがやらなかったら、誰がやるんだ?」――医師不足が生む「空白」を埋める「空飛ぶ外来」とは

The Flying Doctor

2026年2月4日(水)20時55分
アレクシス・ケイサー (医療担当)

ヘリ4機と飛行機5機

マクナマラがサンフォード・ヘルスに加わった当初、母体胎児医学の専門医は彼を含めて3人。ノースダコタ州ファーゴのアウトリーチ外来(専門医が地方へ出向く巡回外来)へ月に1回、車で行き、ホテルに1週間滞在して診察を行っていた。

需要が増え、民間機を使う場合も出てきた。「飛行機を使うようになり、ラピッドシティへ隔週で行った。今は毎週だし、4週先まで予約がある」と、マクナマラは言う。

もちろん、長距離を移動する地方の医師はマクナマラだけではない。いまサンフォード・ヘルスは、中西部北部の213カ所でアウトリーチ診療を行い、対象は60分野に及ぶ。昨年は対面でのアウトリーチ診療が27万件を超えた。

サンフォードが航空機を使い始めたのは1980年代のこと。運用する緊急搬送サービス「エアメッド」の体制を生かし、専門医を患者の元へ運ぶ取り組みを広げた。

エアメッドはノースダコタ、サウスダコタ、ミネソタの3州で、ヘリ4機と飛行機5機を使って、心疾患、外傷、重度熱傷、脳卒中、敗血症など重篤な状態の患者を運ぶ。命を救う医療の元へ患者を届けるこのインフラをそのまま転用し、逆に医師を患者の元へ運ぶ役割を担わせたのだ。

農村医療システムにおいてアウトリーチは一般的な取り組みだと、全米農村医療協会の最高執行責任者であるブロック・スラバックは言う。農村部の患者は都市部より高齢で所得が低く、健康状態も悪い傾向がある。だが、専門医療を受けられない場合が多い。

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