「私たちがやらなかったら、誰がやるんだ?」――医師不足が生む「空白」を埋める「空飛ぶ外来」とは

The Flying Doctor

2026年2月4日(水)20時55分
アレクシス・ケイサー (医療担当)

記者が密着取材した日もそうだった。空港集合は朝6時15分だったが、直前に操縦士から霧が晴れるまで待つと電話が入った。6時45分頃、7時過ぎには出られそうだと連絡が来た。多忙なスケジュールがさらに圧迫されるが、マクナマラは動じていなかった。

とはいえ、もっと楽な仕事を選ぶことはできただろう。少なくとも通勤がここまで大変ではない職場がたくさんあることは、本人も認めている。

アメリカではコロナ禍以降、医師不足が深刻化している。現場の負担が高まったことで、医療スタッフの大量離職が起きたためだ。

2021年には全医療機関の33%に、極度の疲労や燃え尽きを理由として早期退職するか辞職した医師が少なくとも1人いた。

こうした損失は、母体胎児医学のような分野では特に打撃が大きい。長い訓練期間と高度な技術が求められるからだ。専門医を新たに採用するには、手間もコストもかかる。

米母体胎児医学会の会員データによると、アメリカで活動する母体胎児医学の専門医は24年の数字で2079人しかいない。一方で心臓専門医は3万4000人以上、精神科医は約6万人いる。妊娠の6〜8%が高リスクとされるが、専門的にケアできる医師は慢性的に足りず、その傾向は非都市部で特に著しい。

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