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日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が生み出した...なぜ「欠席」は罪になったか

2025年12月27日(土)11時35分
印南敦史 (作家、書評家)

子どもたちは毎日学校に通うのが当たり前という意識

いい例が、「私たち日本人には、子どもたちは毎日学校に通うのが当たり前、という意識がある」という指摘だ。休まない子どもを表彰して褒め称える「皆勤賞」は、いつからか日本社会全体の価値観とマッチして定着したとも言う。

この記述を目にしたとき私は、自分には不可能な皆勤賞を勝ち取ってみせた小学校時代の優等生の姿を思い出した。その時点で私は、皆勤賞を崇高なものとして捉えていた可能性があるわけだ。まさに著者の言うとおりである。


ある私立学校では、現在でも卒業式の「皆勤賞」表彰のときに生徒の名前を読み上げると、その生徒本人と保護者が「ハイ」と誇らしげに返事をして立ち上がるそうです。このように「皆勤賞」は、学校教育では「誇るべきこと」として広く受け入れられていたことがわかります。(111〜112ページより)

皆勤賞はこれまで、進学や就職に際して利点となってきたに違いない。「休まない」という事実が、学校教育の成果を象徴するものとして機能していたからだ。

しかしコロナ禍で考え方が一変し、社会全体が「具合が悪い時はちゃんと休むこと」を求めるようになった。皆勤賞廃止の訴えも出てきたようだ。きっかけがなんであれ、それはいいことだったと感じる。

ところがコロナ禍が収束すると、学校を含む日本社会は以前の状態に戻ってしまった。結局のところ、「習慣」はそう簡単には変えられないということかもしれない。実際、皆勤賞廃止にも根強い反対があるのだという。

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