最新記事
BOOKS

日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が生み出した...なぜ「欠席」は罪になったか

2025年12月27日(土)11時35分
印南敦史 (作家、書評家)
子どもは学校を休まず、大人は仕事を休まない

子どもは学校を休まず、大人は仕事を休まないのが良しとされる日本社会(写真は本文と関係ありません) Chay_Tee-shutterstock

<過労死・過労自殺という悲劇が繰り返されている。その背景には学校で賞賛される「皆勤賞」があるという>


日本社会ではコロナ禍前から「働き方改革」が声高に叫ばれていました。しかし、過労死・過労自殺が喫緊の課題と認識され、「働き方改革」の法制化が進むようになってから約10年、その対策は遅々として進まないようにも見えます。そのため過労死・過労自殺という悲劇が繰り返され、いまだに後を絶ちません。その原因は、「休むこと」に否定的な学校教育にあるのではないかと私は考えるようになりました。(91ページより)

教育心理学者で、『「休むと迷惑」という呪縛――学校は休み方を教えない』(保坂 亨・著、平凡社新書)の著者はこう述べている。
『「休むと迷惑」という呪縛――学校は休み方を教えない』
「働き方改革」と学校教育とを結びつける視点は、恥ずかしながら私の中にはないものだった。そもそも小中学校時代、「具合が悪くてもがんばって休まないこと」を奨励してきた教育の姿勢に疑問を持ったことすらなかった気がする。

だが、いま改めて考えると、「休むことを学校教育が否定することと、年休(有給休暇)さえ取らない日本社会の働きすぎという状況はつながっている」という著者の考え方には納得できるのだ。

つまり、こういうことである。


端的に言えば、学校で「休むことはよくない」と刷り込まれてしまった子どもたちが、社会に出て働きすぎの休めない大人になってしまったのではないか、ということです。(91ページより)

だから本書には、「学校は休み方を教えない」というサブタイトルが付いている。そういう視点で考えると、「なるほど」と思える部分が多い。

関連動画>【日本人が知らない休養学】

日本企業
変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英BP、第4四半期利益は予想通り 事業評価損で自社

ビジネス

オーストラリア証取CEOが5月退任へ、理由は不明

ワールド

仏大統領、欧米対立再燃を警告 EUに改革促す

ビジネス

中国SMIC、第4四半期は60.7%増益 予想上回
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中