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欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別年収年齢カーブ

2025年12月17日(水)11時20分
舞田敏彦(教育社会学者)

他の年齢層の年収順位中央値も計算し、線でつなぐと、性別・年齢層別の年収グラフが出来上がる。国際調査なので、他の国のグラフも作れる。<図1>は、日本・アメリカ・スウェーデンのグラフを並べて提示したものだ。

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年代が上がるにつれ年収も高くなっていく「右上がり」の傾向が主流だ。だが日本の女性だけは、これと違って「右下がり」となっている。3カ国のグラフの比較から見て取れるのは、日本の女性の特異性だ。

「結婚・出産に伴い、家計補助のパートが多くなるので当然」と思われるだろうが、女性がそういうルートに絡めとられるのは日本の特徴であるという点に留意するべきだ。いわゆる「マミートラック」で、結婚や出産に伴いキャリアを外され、家庭の中に押し込められることを言う。

どの国も同じかというと、そうではない。アメリカやスウェーデンでは、女性も男性と同じく右上がりだ。出産・育児後の復帰の機会があるか、幼子を預けて働くための保育所がどれほど整備されているか、などの違いによる。日本がこの面で劣っていることは、肌感覚で分かるところだ。こういう現実を感じ取り、女性は結婚を忌避する。

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韓国と他の欧米主要国も加えた7カ国の比較にすると、<図2>のようになる。20代と50代のデータをつないだものだが、ほとんどのグループが右上がりの中で、日本と韓国の女性は右下がりとなっている。加齢に伴う男女格差の拡大も顕著だ。

韓国も、日本と同じような状況なのだろう。日本以上に少子化が進んでいるが、特に高学歴の女性がキャリアの断絶(喪失)を憂い、結婚をためらう傾向が強まっているという。右下がりを右上がりに変えない限り、未婚化・少子化に歯止めはかかりそうにない。

そのようなことは不可能と思われるかもしれないが、欧米諸国では男女とも「右上がり」が実現している。男性を含めた育休の拡充、保育所の増設など、まだまだ打ち出せる対策はありそうだ。

日本と韓国では、50代になると年収の性差がとてつもなく大きくなる。こういう男性優位の裏側には、「一家の大黒柱(支え)たれ」という圧力があるが、それは男性の生きづらさの源泉でもある。男女平等を進めることは、両性にとって有益なことだ。

<資料>
OECD「PIAAC 2022-2023」

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