中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ

彼は、日本の「失われた30年」やギリシャを含む南欧諸国を引き合いに出し、目先の景気刺激策や財政赤字拡大が構造的な問題を解決できず、膨大な債務だけが残る可能性に警鐘を鳴らした。

劉の発言は、より積極的な財政出動を支持する声と対照的だ。たとえば、上海・華東師範大学のエコノミスト、連平は、内需拡大のために政府支出を増やすことを支持している。

中国政府は、2025年の「公式財政赤字」（中央政府予算に基づく赤字）の対GDP比を4％と設定しており、これは過去最高水準となる。連は公表されたコメントの中で「この数字は過去と比べて大きいが、中国政府の財政状態と債務水準は全体として安定かつ健全だ」と述べた。

「特に中央政府の債務対GDP比が低水準にあることを考慮すれば、この赤字増加が大きなリスクにつながることはない」
格付け会社フィッチ・レーティングスは、地方政府も含めた中国の政府部門全体の財政赤字が、2025年には対GDP比8.4％に達すると予測している（2024年の6.5％から増加）。また、債務残高は対GDP比68.5％に達すると見られており、新興国としては高い水準だ。

だが財政への懸念があるにもかかわらず、フィッチは中国の2025年の経済成長率予測を4.7％に上方修正した。主な要因として、景気刺激策と輸出の堅調を挙げている。中国政府は、今年の経済成長目標を「5％前後」と設定している。