最新記事
日本社会

小学校低学年ほど暴力増加「登校した瞬間、友だちに殴りかかる」...大人が知らない校内暴力の今

2025年11月13日(木)09時00分
石井光太(ノンフィクション作家)
小学校の教室

写真はイメージです NY98401-shutterstock

<小中学校での暴力・いじめが過去最多を記録。取材を進めると、驚きの実態、その要因が見えてきた。あなたの子どもは加害者になっていないか?>

今年10月に文部科学省が発表したデータによれば、全国の小中学校で起きた子どもの暴力やいじめ事案は、過去最多を記録した。

子どもの暴力行為は12.8万件、いじめの認知件数に至っては76.9万件となっている。いずれも10年以上前から増加の一途をたどっており、当時と比べて、前者は117%増、後者は314%増だ。

国が多額の予算を投じて数多の予防策を打っているのに、なぜ子どもたちの暴力行為はこれほどまでに悪化しているのか。

この背景には、今の子どもたちを取り巻く社会環境の大きな変化がある。

私は近著『傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害』(CEメディアハウス)で、教員や親にすら見えていない子どもたちが傷つけ合う背景とプロセスを明らかにした。

その一部を紹介する形で、今の子どもたちの間で起きている暴力を示したい。
『傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害』
子どもの暴力事案で顕著なのが、年齢が低い子であればあるほど増加率が高まっていることだ。

20年くらい前まで、校内暴力は主に中学生が行う行為だった。ヤンキー、不良と呼ばれる子たちが、鬱憤を晴らすように同級生や教員に手を上げたり、器物を破損させたりしていたのだ。

ところが、10年ほど前から小学生の暴力事案が中学生のそれを超え、その後も増加しつづけている。特に低学年の問題行動が顕著で、小学生の中でも小1、小2、小3と年齢の低い子の増加率が顕著なのだ。

一体、どうしてなのか。

大きな要因として指摘されているのが、子どもたちの「コミュニケーションスキルの低下」だ。本書の取材で話を聞いた都内の小学校に勤めるベテランの教員は次のように語る。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾経済、今年6%近く成長する可能性=統計当局トッ

ビジネス

在欧中国企業、事業環境が6年連続悪化 コスト上昇と

ワールド

豪10月就業者数は予想以上に増加、失業率も低下 利

ワールド

ロシアとカザフスタン、石油分野の関係強化で合意 首
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中