リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上──韓国政府機関の火災が示した「デジタル先進国」の脆さ

民間に厳格な対策を求めつつ、自らのシステムは放置
政府はKT阿硯支社の火災後、基幹通信事業者に災害対応を義務付け、カカオの通信障害以降、義務対象を付加通信事業者やデータセンター事業者に拡大した。当局は対象に加わったカカオやネイバー、サムスン電子などに対して、待機(スタンバイ)サーバを動作(アクティブ)サーバと異なる外部のデータセンターに分散し、また同じ機能を持つ複数サーバを同時に稼動できる「アクティブ-アクティブ」を構築するよう要求した。メインサーバとバックアップサーバを同じセンターで管理していたカカオは待機サーバを移転して、万一、事故が発生しても影響が広がらない体制を整えた。
しかし、今回の国家情報資源管理院の火災事故で明らかになったのは、政府は民間企業に厳格な対策を要求しながら自らのシステムには適切な対策を施していなかったという事実だ。
2023年11月に行政ネットワーク障害が発生したとき、国家情報資源管理院が使用していた設備の25%の機器が耐用年数を超過、7年以上超過していた装置もあった。障害の原因を引き起こしたルータの耐用年数は8年だったが、行政安全部は事故の前年に耐用年数を延長する改正を行っていた。
政府のデータを管理する国家情報資源管理院の火災で杜撰な管理体制と設備の老朽化が明らかになったが、自治体職員が使用するシステムも自治体ごとに2004年と06年に開通して以降、一度もリニューアルされていないという。またソウル地下鉄の案内表示はマイクロソフトのサポートが終了して久しいウィンドウズが使われている。
世界有数のIT大国を標榜し、IT人材を多数輩出する韓国だが、単一サイトへの集中、データの冗長化不足、老朽設備の延命といった、基本に反する運用が公共分野で積み上がっていた。今回の火災は、政府システムの脆弱性をあらためて浮き彫りにし、「バックアップはシステムそのもの」という原則を公的部門が再確認すべきだという厳しい教訓を残した。
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