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日本社会

50代女性の睡眠時間を奪うのは高校生の子どもの弁当作り

2025年10月8日(水)10時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

アラフィフというと、高校生の親年代だ。小学校や中学校と違って給食はないので、弁当を持たせる家庭が多いだろう。通学時間が長くなり、家を出る時間も早くなるので、弁当を作る母親は早起きを強いられる。5時や5時半起きもザラだ。

高校生の母親が早起きして弁当作りをしている様は、データで可視化できる<図2>。母親だけに負担が集中しているのも痛々しい。

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前日の残りや出来合いの惣菜を詰めるなどして終わらせてもいいのだが、日本の母親はそうした手抜きをしない(できない)。彼女らが作る「キャラ弁」なるものを海外の人に見せると、「これを毎日作るのか」と目をむいて驚く。今はSNSで弁当の見栄えを競うようなこともされていて、時間をかけて手の込んだ弁当を作ることへのプレッシャーも高まっている。

高校の学食や購買部をもっと充実させる必要があるだろう。採算が取れないという理由で撤退するケースも相次いでいるが、生徒の「食」を保障する意味で、公的な補助がされてもいい。小中学校と同じように、給食の導入も検討するべきだ。

日本は寝不足大国と言われるが、「労働時間が長いから」というような抽象論で片付けてはいけない。問題が特に深刻なのはアラフィフ年代の女性で、まずはこの層の状況を改善することからだ。重点を置くターゲットを特定すると、なすべき対策も具体性を帯びてくる。

<資料>
厚労省『国民生活基礎調査』(2022年)
総務省『社会生活基本調査』(2021年)

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