50代女性の睡眠時間を奪うのは高校生の子どもの弁当作り

子どもの弁当作りのために多くの母親が早起きを強いられている photoAC
<現代の50代は「育児+介護」のダブルケアのステージで、その負担は女性に偏っている>
日本人の働き過ぎ(ワーカホリック)は国際的に知られているが、寝不足もまた広く知られている。それは経済活動にも影響しているようで、アメリカのシンクタンクが2016年に公表した試算によると、日本人の寝不足による経済損失は約20兆円にも達するという。
同年の日本人(15~64歳)の1日の平均睡眠時間は7時間24分で、OECD加盟国の中では最も短い(OECD「Gender Data Portal 2021」)。7時間24分というと結構寝ているようにも思えるが、あくまで平均値であって、睡眠時間が極端に長い人の影響を受けている可能性がある。
平均値よりも中央値で見るほうがいい。2022年の厚労省『国民生活基礎調査』に、12歳以上の国民の睡眠時間分布が出ているが、これをもとに中央値を計算すると6時間26分。上記の平均値よりもリアリティーのある数値だ。日本人の半分が、1日6時間半も寝ていない。ライフステージによる違いもある。男女の年齢層別に睡眠時間中央値を算出し、線でつないだグラフにすると<図1>のようになる。
男女とも、アラフィフ年代に谷がある「V字型」となっている。女性の50代前半は358分と6時間を割っている。この年代の女性の半数が、1日6時間寝ていない。
晩産化の進行もあって、今では50代も子育て期だ。老親の介護も始まる頃で、現在の50代は「育児+介護」のダブルケアのステージと言っていい。その負担は女性に偏っていることから、この年代の女性の睡眠時間が最も短くなるのは頷ける。