最新記事
農産物

アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一期目から対米依存を減らしてきた中国の勝利

White House in a Bind as Soybean Sales to China Plummet to Zero

2025年9月30日(火)16時57分
ヘスス・メサ
江蘇省南通市の港で荷下ろしされた輸入大豆

中国東部・江蘇省南通市の港で荷下ろしされた輸入大豆(2012年) Oriental Image

<アメリカ産大豆の最大の需要先が遂に消失、中国は大豆を武器にアメリカとの貿易交渉でも優位に立った>

9月下旬の国連総会の場で米財務長官スコット・ベッセントが読んでいたテキスト・メッセージの写真が、ドナルド・トランプ政権が抱える危機を露呈して関心を集めている。アメリカ産大豆の対中輸出がゼロになり、中国は代わりの大豆をアルゼンチンから調達した、という内容だ。

「取り急ぎの報告だが、非常にまずい状況だ」と、米農務長官ブルック・ローリンズが送信したとみられるメッセージにはある。「アメリカが支援したばかりのアルゼンチンが、その見返りに、穀物の輸出関税を撤廃し、価格を下げて大量の大豆を中国に売却した。本来、アメリカが中国に輸出するはずだった大豆だ。大豆価格はさらに下落し、中国は貿易交渉でますます優位になった」

AP通信のアンジェリーナ・カツァニスが撮影したこのメッセージは、ソーシャルメディアで急速に拡散した。

トランプ政権がアルゼンチンを支援するために、最大200億ドルの通貨スワップ枠やアメリカによる国債の直接購入を約束していることも、新たな疑問を呼んでいる。アメリカの支援は、アルゼンチンが輸出関税を撤廃し、100万トンを超える大豆を安く中国に輸出することにもつながったからだ。皮肉なことに、アメリカはちょうど大豆の収穫期だった。

東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:気候変動で加速する浸食被害、バングラ住民

ビジネス

アングル:「ハリー・ポッター」を見いだした編集者に

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中