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荒川河畔の「原住民」(19)

「ホームレスになることが夢だった」日本人男性が、本当にホームレスになった

2025年1月24日(金)06時30分
文・写真:趙海成

「僕はやんちゃな高校生だったけれど、大学に進学することを望んでいましたよ。でも高卒認定を得るための試験を受けなければ、大学受験の資格がありませんでした。だから学校に復学を要請し、高校入試も受け直しました。

その後、学校の先生に呼ばれて話をしましたが、その時、僕の大学進学の夢は完全に破れました。先生は僕にこう言ったのです。

『君は今回の試験で合格点を取ったけれど、私は不合格にした。なぜか分かるか。もし君が学校に戻ってくると、君を慕っていた同級生たちがまた君についていくからだ。学校の不良少年の数がまた増える。彼らの未来のためにも、学校の名誉のためにも、もう帰ってこないでくれ!』」

征一郎さんは、先生の話を聞いた後、何の反抗もせず、ただ「分かりました」とだけ言ったそうだ。その後、彼はその母校の高校に戻ることはなく、仲間や友達とも連絡を絶った。

そして、かつての「憧れ」が「宿命」になった

彼には分かっていた。先生の言うことが正しい。間違っているのは自分で、高校生の時は羽目を外しすぎて、自ら進学の道を断ち切ったのだ。

高校中退後は、生きるためにいろいろなアルバイトをやったし、さまざまな苦労を経験した。

征一郎さんは小さい時から肝臓が弱かったという。大人になってからは建築現場の肉体労働が多く、毎日の過酷な労働で疲弊してしまった。その結果、肝臓がますます悪くなり、筋肉痛、頭痛、発熱などが常に生じ、自分の体が支えられなくなって、仕事もできないほどになってしまった。

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