最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナ、愛国心と利益追求が支える戦時国債

2024年10月15日(火)10時31分

アナリストやトレーダーによると、ウクライナ国債を買う個人投資家はかつて少なく、購入者の大部分が金融分野で働く人々に限られていた。

公式データによると、16年の国民による国債への投資額は約1億フリブナだった。かつては市場に入るのはずっと複雑で、高価だったが、戦闘がそれを変えた。

投資会社ICUのシニアアナリスト、タラス・コトビッチ氏は「戦闘が始まったことで全ての手数料と最低金額要件が撤廃された」と説明する。

パソコンのマウスを数回クリックすればオンラインで国債を買えるようになり、国債には戦時中の象徴がふんだんに盛り込まれている。

行政デジタルプラットフォーム「Diia」を通じて販売される国債には、ロシア軍に占領されたウクライナの都市や町の名前が記されている。愛国心とともに利益も得られるというわけだ。

戦時中で貯蓄や投資の機会が限られているのを踏まえ、フリブナ建て国債の利回りは15―18%、ドル建て国債は4%を超える利回りがあり、税金もかからない。

ウクライナ最高会議(議会)で現在議論されている預金の利子に対する戦時中の税金の引き上げは、国債の魅力を高める可能性がある。

ウクライナは外国人にも国債を販売している。

財務省の発表によると、10月初旬時点で国債に占める非居住投資家の割合は約1.4%だった。日本とドイツ、米国からの投資家が最も積極的だと説明している。

ICUのコトビッチ氏によると、ウクライナ国民は1年以内の短期国債に最も関心がある。通常は少額投資から始めるが、満期になると再投資する傾向があるという。

投資家の属性は学生や兵士、国家公務員、IT専門家などと幅広い。ミハイレンコ氏の父親は56歳で初めての金融商品への投資で国債を買ったという。

ウクライナ国立銀行(中央銀行、NBU)は、国債への関心が高いことを踏まえて銀行や投資会社がアプリを立ち上げたり、個人投資家がより簡単に購入できるようにする施策を実施したりしていると紹介した。

NBUは9月、国債投資を支援し、手続きをさらに簡素化するための改定も承認した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月31号(3月24日発売)は「BTS再始動」特集。7人の「完全体」で新章へ、世界が注目するカムバックの意味 ―光化門ライブ速報―

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感3月確報、53.3に低下 

ワールド

スペースX上場巡り話題沸騰、銘柄コードが賭け対象に

ビジネス

ECBの拙速利上げに慎重、インフレ定着の見極めを=

ワールド

米国務長官、地上部隊使わず対イラン目標達成へ 「数
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 5
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 6
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 7
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 8
    ニュースでよく聞く「東京外国為替市場」は、実際は…
  • 9
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 10
    アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中