最新記事
米大統領選

「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺意以外の「唯一の共通点」とは?

Two Men Allegedly Tried to Kill Trump This Summer. Here's What to Know About Them

2024年9月18日(水)11時00分
ヘスス・メサニ
トランプ前大統領の暗殺をはかったライアン・ウェズリー・ラウス容疑者 via REUTERS

トランプ前大統領の暗殺をはかったライアン・ウェズリー・ラウス容疑者 via REUTERS

<トランプ前大統領の命を狙ったとされる2人の容疑者、ラウスとクルックス。その動機と背景には何があったのか>

この夏、ドナルド・トランプ前大統領の暗殺を試みたとされる2人の男性は、異なる世代であり、動機は不明確で、政治的な支持も異なるように見える。

彼らに共通していたのは、トランプを殺そうとする明らかな意図以外にはほとんどなかった。唯一と言ってもいい共通点は、2人とも民主党系の資金調達団体である「アクトブルー」を通じて小額の寄付をしていたことだ。「アクトブルー」は2004年の設立以来、進歩的な事業や政治家のために150億ドル以上を集めてきた民主党寄りの資金調達の大手である。

ライアン・ラウス容疑者について分かっていること

newsweekjp_20240918020249.jpg

ライアン・ウェズリー・ラウス容疑者 via REUTERS

ライアン・ウェズリー・ラウス容疑者(58)は9月15日、ドナルド・トランプ前大統領の暗殺をはかったとして逮捕された。過去にマスコミ数社の取材に応じたことがあり、その内容にラウスの性格や動機の一端が表れている。

ネット上ではハワイのホームレスのための住宅を建設し、ウクライナを支援するため義勇兵の採用を試みたと自己紹介していた。トランプに対しては、当初は支持を表明しながら次第に苛立ちを募らせるようになり、トランプ殺害をイランに促したことさえあった。

住所はハワイとされているが、大人になってからはほとんどノースカロライナ州グリーンズボロに住んでいたらしく、同地で何度も警察沙汰を引き起こしていた。2002年には「完全自動小銃」所持の重罪で有罪を言い渡され、2010年にも窃盗で重罪に問われている。武器を隠しての携帯、スピード違反、免許を取り消された状態での運転といった軽罪などの前歴もある。

16日に裁判所に出廷したラウスは、約3000ドルの月収はあるが蓄えはなく、ホノルルで所持しているのはトラック2台のみで、25歳の息子を養うこともあると打ち明けた。

動機については当局が捜査を続けているが、ネットの投稿には政治観の変化や苛立ちが表れている。2023年に自費出版した著書「Ukraine Unwinnable War」ではロシアと戦うウクライナに強い支持を表明し、イランにトランプの暗殺を促し、トランプを「馬鹿」「道化」と呼び、1月6日の議会襲撃やイラン核合意離脱に関してトランプを批判していた。

政治的には自身を無党派と位置付けていた。有権者登録記録によると、2012年にノースカロライナ州で「無党派」として登録され、今年は同州の民主党予備選で投票していた。

言葉を越える行動もあった。ウクライナへは戦争が始まって以来、数回にわたって渡航し、ウクライナ多国籍軍団の義勇兵を採用していると主張。これがマスコミに注目されてアメリカの新聞社などから取材を受けた。

だが、多国籍軍団の元義勇兵は本誌の取材に対し、ラウスは「妄想家」で「嘘つき」だったと話している。

ラウスは2016年の大統領選でトランプに投票したことを激しく後悔していた様子で、後にトランプを「無能な子供」と形容した。トランプに対する見方を変えてからは民主党のみに寄付するようになり、民主党の資金集め団体「アクトブルー」を通じて計19回、総額140ドルを寄付していた。1回当たりの額は1ドル~25ドルだった。

考え方を変えるまでは共和党を支持しており、2015年はジョン・ケーシック、2007年にはジョン・マケインに寄付。それ以前にもケーシックやギャリー・バウアーに寄付していた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ビジネス

エヌビディアやソフト大手の決算、AI相場の次の試金

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 2
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面を突き破って侵入する力の正体が明らかに
  • 3
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 4
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 9
    「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 6
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 7
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中