最新記事
日本社会

未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

2024年4月25日(木)10時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
孤食の男性

単身男性は食生活が乱れやすく、好きな食べ物ばかりたべる固食にもなりがち photo-ac

<死因別の比較で見ると、特に未婚男性の比率が高いのは肺炎や糖尿病、高血圧、腎不全>

未婚化に歯止めがかからず、2020年時点の男性の生涯未婚率は25%を超えた(『国勢調査』)。4人に1人が生涯結婚することなく独り身で暮らす、ということだ。家族がいないことによる孤独に加え、食生活も乱れやすくなる。孤食はもちろん、自分の好きなものばかりを食べる「固食」にもなりがちだ。

厚労省の『人口動態統計』を見ると、筆者くらいの中年男性の死亡率は既婚者よりも未婚者で高い。未婚の男性は、不健康な食生活になりやすいためだろう。細かい死因別の死亡者数を比較すると、この推測が確からしく思えてくる。

『人口動態統計』には、主な死因の年間死亡者薄が配偶関係別に出ている。45~64歳の男性を未婚者と有配偶者に分けて、主要死因の死亡者数を取り出すと<表1>のようになる。未婚者とは、一度も結婚したことがない人をいう。

newsweekjp_20240425004346.png

死亡者の総数(一番下)は未婚者が2万4624人、有配偶者が2万8258人となっている。後者のほうがベース人口の上で多数なのだから当然だ。

しかし死因別に見ると、「未婚者>有配偶者」のものが多い。肺炎の死亡者数は未婚者が750人、有配偶者が288人。糖尿病や高血圧疾患による死亡者数も、未婚者は有配偶者の倍以上だ。ベース人口の差を考慮すると、未婚者がこれらの病で命を落とす確率は、有配偶者よりだいぶ高いことになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トヨタなど5社が認証不正、対象車の出荷停止 国交省

ワールド

メキシコ初の女性大統領、シェインバウム氏勝利 現政

ワールド

エルニーニョ、年内にラニーニャに移行へ 世界気象機

ワールド

ジョージア「スパイ法」成立、議長が署名 NGOが提
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナの日本人
特集:ウクライナの日本人
2024年6月11日号(6/ 4発売)

義勇兵、ボランティア、長期の在住者......。銃弾が飛び交う異国に彼らが滞在し続ける理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しすぎる...オフィシャル写真初公開

  • 3

    「サルミアッキ」猫の秘密...遺伝子変異が生んだ新たな毛柄

  • 4

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 5

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 6

    中国海外留学生「借金踏み倒し=愛国活動」のありえ…

  • 7

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 8

    「娘を見て!」「ひどい母親」 ケリー・ピケ、自分の…

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 5

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 6

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 7

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中