最新記事
台湾 

「台湾に侵攻すれば中国経済は崩壊する」──英クレバリー外相

China Risks Economic Collapse With Taiwan Invasion Plans—UK Official

2023年10月4日(水)14時51分
マイカ・マッカートニー

宮古海峡を通り太平洋に向かう中国空母「遼寧」(2021) Joint Staff Office of the Defense Ministry of Japan/REUTERS

<台湾海峡を通じた巨額の交易が混乱すれば中国も世界も大打撃を受ける。イギリスは中国への経済依存を減らしつつあると、英外相は語った>

<動画>「台湾有事」は本当に起きるのか...今すぐ日本が準備すべきことは何か?

イギリスのジェームズ・クレバリー外務大臣は10月2日、中国が台湾に対して軍事行動をとれば、中国経済はぼろぼろになるだろうと述べた。

イングランド北部のマンチェスターで開催された保守党の年次総会でクレバリーは、外務省は中国に対して現実的なアプローチを取っているので、両国の立場が相容れないものになった場合は経済よりも安全保障が優先されるだろうと語った。

クレバリーは今年8月、中国を訪問。英外相として5年ぶりの訪中に保守党の一部には批判の声もあったが、アメリカと同様イギリスも、中国に対する強硬路線を修正しようとしている最中だ。

クレバリーは、誤解や誤算を避けるために中国と関わる必要があることを強調したが、その理論的根拠は、アメリカのバイデン政権と同じだ。

「台湾海峡の混乱は、みんなの関心事だ」と、スペクテイター誌主催のサイドイベントでクレバリーは語った。

彼は台湾海峡を通る貿易の額が非常に大きいことを指摘し、台湾海峡での紛争は世界経済にダメージを与えるだけでなく、「中国経済を崩壊させ、他の多くの経済を巻き込むだろう」と述べた。

台湾周辺で軍事訓練

アメリカではアントニー・ブリンケン国務長官が1年前の講演で、台湾海峡を通る商用船舶の通行や台湾のハイエンド半導体の供給の問題を引き合いに出して、同じようなことを主張している。

中国政府は、一度も統治下に置いたことがない台湾を中国の正当な領土と主張し、武力行使で自国に引き入れることも辞さないと繰り返してきた。台湾は中国の主張をはねつけ、いかなる犠牲を払っても独立を守ると宣言している。

台湾に対する西側諸国の支持の高まりと時を同じくして、中国は台湾周辺の軍事活動を活発化させている。空母群を中心とする中国の空軍と海軍は9月、台湾の近海で数日間にわたる訓練を行った。

だがクレバリーは、世界第2位の経済大国である中国には不安定な状態で、亀裂が生じかけていると指摘。そのため、イギリスをはじめとする他の国々に以前よりも大きな影響がもたらされていると語った。最近行われた中国の王毅外相との会談で、イギリスとその同盟国は中国との貿易を減らす措置をとっていることを告げたという。

このメッセージが王毅とそのスタッフに衝撃を与えたことが手に取るようにわかった、とクレバリーは語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ

ワールド

インド総選挙、首都などで6回目投票 猛暑で投票率低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中