イスラエル警察のモスク襲撃に始まった暴力がシリアに拡大、ネタニヤフの狙いは
Israel Launches Strikes on Syrian Targets as Tensions in Region Mount
「反イスラエル統一戦線」ができる?──アルアクサ・モスク襲撃に抗議するヨルダンのイスラム教徒(4月7日、アンマン)
<イスラエルの民主主義を大幅に後退させようとしたネタニヤフ首相の司法「改革」に対する国民の反発を、外に向けようとした?>
イスラエルは4月9日、シリアに攻撃を行ったことを発表した。シリア領からイスラエルに向けてロケット弾6発が撃ち込まれたことに対する報復だと説明している。
イスラエル国防軍(IDF)は当初、シリア領内のロケット弾が発射された地点に対して、砲撃とドローンによる攻撃を行ったことを発表。その後、戦闘機によって、シリア軍第4師団の軍事施設やレーダー、砲撃基地といった拠点を攻撃したと声明を出した。
「シリアはその領土で起こるすべてのことに責任を負っているとみなされる。イスラエルの主権を侵害するいかなる試みも許されない」と、IDFはウェブサイトで発表した。
今回の攻撃は4月5日、イスラエル警察がエルサレムにあるイスラム教の礼拝所アルアクサ・モスクに突入した事件に端を発している。警官隊はイスラム教の聖なる月であるラマダン(3月22日から4月21日)の礼拝を行っていたイスラム教徒を解散させるために催涙ガスやスタングレネードを発射した。
今年は、1週間にわたるユダヤ教の祭日「過越の祭」(4月5日から13日)がラマダンと重なっている。
拡大する報復合戦
イスラエルは、警察によるモスク襲撃の目的は、モスク内に立てこもった過激派とみなされる集団を解散させることだったと発表した。だが、だがモスク内部で警官が礼拝者を殴打する様子を映した動画など、この襲撃の暴力性が明らかになり、エルサレムには不穏な空気がたちこめ、国外でも怒りが広がっている。
この事件に反発したレバノンの過激派とパレスチナ自治区ガザ地区のパレスチナ人過激派は6日、イスラエルに向けて大量のロケット弾を発射した。報復として、イスラエル軍は7日、ガザやレバノン南部のパレスチナ過激派組織ハマスに関連する場所を攻撃した。
9日のロイター通信によると、シリア国防省は、イスラエルの攻撃に対して、対空防衛システムで迎撃したと発表。同省はまた、攻撃で死傷者は出ておらず、物的損害が生じたのみであると付け加えた。
シリアの国営メディアも、シリアの首都ダマスカス付近で爆発が発生したことを伝えた。
AP通信によると、イスラエル軍は空爆を開始したのは8日で、ロケット弾1発がゴラン高原のイスラエル支配地域に着弾したと発表した。一方、ヨルダン軍は、破壊された別のミサイルの破片がシリア国境付近のヨルダン領に落下したと報告した。