最新記事

中国

【動画】「まるで地獄から来たトラック」 中国「犬肉祭」に出荷された犬たちを救出

Hundreds of Dogs Set for Slaughter at Yulin Festival Saved From Truck

2022年6月25日(土)19時47分
アリストス・ジョージャウ

「犬たちのために立ち上がった中国の活動家、そして、その対応によって犬たちの命を救った警察を、とても誇りに思う。彼らがいなければ、この犬たちはすでに玉林の食肉処理場で殺されていただろう」

トラックから救出された犬のなかには、首輪を装着したままの犬も含まれており、飼い主から盗まれた可能性を示唆している。

「中国の犬猫肉の取引は、ビジネスの維持のため、窃盗という違法行為に大きく依存している」とリーは本誌に語った。「韓国とは異なり、中国には犬肉専用の飼育場がない。取引に巻き込まれる犬の大部分は、誰かが『飼っていた』ペットや、路上でさらわれた野良犬だ」

庭からの連れ去りや道路でのひったくり

「犬泥棒は、毒や、裏庭からの連れ去り、車で走りながらのひったくりなど、さまざまな方法で犬を手に入れ、取引業者やレストランのオーナーに販売する」とリーは説明する。「犬や猫は、十分な数がたまると、小さな檻に身動きできないほど詰め込まれ、トラックの荷台に積み上げられる。いわゆる『祭り』に向けて玉林に運ばれる犬たちは、中部の安徽省、湖北省、河南省など、2400キロも離れたところからやって来ることもある」

リーによれば、このような旅は多くの場合、「耐え難いほど残酷」で、犬たちは餌も水も休息も与えられないという。「トラックの一番下に積まれた犬たちは糞尿にまみれ、中段に積まれた犬たちは窒息死することもある」

中国では、犬肉の取引は禁止されていない。しかし、国務院に属する行政部門「中国農業農村部」は以前、犬(と猫)は伴侶動物と見なされるため、「家畜」には含まれないという公式声明を発表している。

また、犬肉取引は多くの点で、中国の法律や規則に違反している。例えば、生きた動物を省の境界を越えて運ぶ場合、個体ごとに健康検疫証明書を用意しなければならない、と法律で定められている。

「もちろん、犬泥棒や業者はこうした証明書を持っていないため、日常的にこの法律を破っている」とリーは話す。「また、犬や猫の食肉処理場は、食用家畜として公式には認められていない動物を殺しているため、やはり法律に違反している。さらに多くの場合、騒音や廃棄物汚染に関する法律や規則にも違反している」
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中