最新記事

新型コロナウイルス

東京五輪組織委、通常開催の代替策を検討 延期判断に備え

2020年3月22日(日)19時24分

日本オリンピック委員会(JOC)理事の山口香氏(ソウル五輪女子柔道銅メダリスト)は先週、五輪に参加する選手が新型コロナ問題で十分に練習できていないことなどを理由に、開催を延期すべきであると発言。組織委の上級メンバー2人も「延期の決定が遅くなればなるほど、より多くの準備が必要になり、あらゆるキャンセル料がかさむ」として、延期の決定を急ぐべきとの考えを示した。

しかし、開催延期となれば、放映権契約の見直しが必要になるほか、参加選手の選考について公平性をどう確保するのか、などさまざまな課題も生じる。すでに来夏には水泳や陸上などの世界大会開催も計画されている。東京五輪はもとより、2024年パリ五輪のスポンサー企業のマーケティング活動にも影響が及びかねない。

東京五輪の国内スポンサー企業の契約総額は、パラリンピックも含め過去最高額の30億ドル(3300億円)超となっており、開催準備のための予算は120億ドル(1兆3500億円)余りに上る。通常開催の変更により、こうした巨額の契約や予算が変更を迫られる懸念がある。

トヨタ自動車の社員によれば、最近参加した社内の電話会議で「東京五輪が予定通りに開催されない可能性が80%ある」との指摘があったという。ただ、日航の広報担当者は「予定通りの開催に備えて準備している」とコメントしている。

(取材協力:新田祐貴、安藤律子、山崎牧子、田実直美、竹本能文、木原麗花、宮崎亜巳、David Dolan, Tim Kelly, Kane Wu, Ran Chang-Kim and Antoni Slodkowski)

[白木真紀 Ju-min Park

[東京 22日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・イタリアを感染拡大の「震源地」にした懲りない個人主義
・新型コロナ:中国「新規感染者数ゼロ」の怪
・日本が新型肺炎に強かった理由


20200324issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領18日訪朝、24年ぶり 関係強化の動

ワールド

中国のEU産豚肉調査、スペインが交渉呼びかけ 「関

ワールド

パレスチナ自治政府、夏にも崩壊 状況深刻とノルウェ

ワールド

ロシア、拘束中のWSJ記者の交換で米国と接触=クレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 3

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 4

    顔も服も「若かりし頃のマドンナ」そのもの...マドン…

  • 5

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 6

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 7

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 8

    中国経済がはまる「日本型デフレ」の泥沼...消費心理…

  • 9

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 10

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 7

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中