最新記事

資産形成

【資産形成】40~50代が運命の分かれ道?

2019年3月28日(木)17時46分
高岡 和佳子(ニッセイ基礎研究所)

最後に、世帯主の年齢が30歳代の世帯の試算結果を用いて、若年層における純貯蓄額の差の拡大が、地道な努力と所得格差のいずれによるものかを視覚的に確認したい。確認するにあたり、各世帯年収区分に対し代表値を設定した(所得が低い順に、200万円、400万円、625万円、875万円、1,100万円、1,500万円)。同様に各貯蓄割合区分に対しても代表値を設定した(貯蓄割合が低い順位0%、2.5%、7.5%、12.5%、17.5%、22.5%)。これらの条件の下で推計した年間貯蓄増加額毎の世帯割合を求め、図表5に収入別の結果を示す。当たり前だが、30歳代の年収300万円未満の世帯で年間50万円以上貯蓄する事は難しく、所得格差の影響は否定しない。しかし、代表的世帯である「300~500万円未満」と「500~750万円未満」のいずれにおいても、年間貯蓄増加額50万円以上の世帯が最も多く、その次に貯蓄割合が0%もしくは金融資産を保有していない世帯が多い。加えて、30歳代では全体の10%に満たない年収1,000万円以上世帯の中にも、年間貯蓄増加額が0円の世帯が存在する。地道な努力を重ねる「アリ派」と「キリギリス派」に大きく二分されていることが分かる

takaoka20190317223206.jpg

住宅ローン返済の影響が考慮できていない等の試算上の制約はあるが、平均的な収入の若年層における純貯蓄額の差の拡大は、地道な努力の結果によるところが大きいのではないかと考えられる。

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポートからの転載です。

takaokawakako.jpg[執筆者]
高岡和佳子
ニッセイ基礎研究所
金融研究部・
主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

20190402cover-200.jpg

※4月2日号(3月26日発売)は「英国の悪夢」特集。EU離脱延期でも希望は見えず......。ハードブレグジット(合意なき離脱)がもたらす経済的損失は予測をはるかに超える。果たしてその規模は? そしてイギリス大迷走の本当の戦犯とは?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏CPI、4月はサービス上昇でコア加速 6月

ワールド

ガザ支援の民間船舶に無人機攻撃、NGOはイスラエル

ワールド

香港警察、手配中の民主活動家の家族を逮捕

ビジネス

香港GDP、第1四半期は前年比+3.1% 米関税が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中