最新記事

サイエンス

推定500歳!地上で最古の脊椎動物はガリレオの時代から生きてきた

2017年12月11日(月)16時35分
ライアン・シット

1年に1センチずつ、何百年もかけて巨体になる神秘のニシオンデンザメ juniel85/Instagram

<生殖年齢に達するまで150年?──北の深海でスローモーに生きるニシオンデンザメの驚くべき生態>

地球上で最古の生きた脊椎動物が見つかった。北大西洋と北極の冷たい海にひっそりと暮らしてきたニシオンデンザメの一種で、いちばん古い個体は512歳になる可能性もあると、英サイエンス誌は伝えている。

デンマークの海洋生物学者ジュリアス・ニールセンが率いる科学者チームによれば、ニシオンデンザメはまるで冬眠中のようにのろのろと生きており、1年に約1センチしか成長しない。つまり、科学者たちが発見した約5.5メートルのメスの個体は、すでに数百年生きてきたことになる。

A +1000 kg monster tagged and released #greenlandsharkproject

Julius Nielsenさん(@juniel85)がシェアした投稿 -

(1000キロを超える神秘の「モンスター」)


ニールセンらは放射性炭素年代測定法を使い、ニシオンデンザメ28匹の水晶体を分析した。それによると、最も古いサメは392歳近い可能性が判明。放射性炭素年代測定法の確実性は95%、よってサメの本当の年齢は272~512歳と推定される。それが正しければ、このサメはガリレオ・ガリレイの時代から生きてきたことになる。ニシオンデンザメが性的に成熟するのは156歳ぐらいになってからだというから驚きだ。

(発信器の付いたメスのニシオンデンザメ。近くにももう一匹いる)


ニシオンデンザメの生態についてはほとんど何もわかっていない。水深2000メートル以上の深海に住み、カナダとロシアの間を北極海から北大西洋まで回遊する。特徴は、目立って短くて丸い鼻と小さな目。食物連鎖の最上位におり、餌の大半はほかの魚だ。

In exactly 1 hr and 7 minutes a satellite tag will pop-off from this Greenland shark female, it will float to the surface and establish contact with an Argos satellite. It will then transmit information on position as well as occupied temperatures the past 3 months. By tomorrow morning I will hopefully have the data which just can make it into my PhD before ending in four weeks. All of this (except handing in PhD in four weeks) will however only happen IF 1) the shark is not under sea ice (which would inhibit satellite transmission), 2) the sea is not too rough where the shark is which could lead to that the tag cap can't be exposed properly in the air or 3) that the shark has not been deeper than 2,000 m which would have crushed the tag and destroyd it.... it also requires that there is no annoying animal eating the tag before we get the data which happened to us on a previous deployment. FINGERS CROSSED #greenlandsharkproject Photo credit: Takuji Noda

Julius Nielsenさん(@juniel85)がシェアした投稿 -

これまでは、地球上で最も寿命の長い脊椎動物は、ホッキョククジラだと思われていた。サイエンスによると、ホッキョククジラの推定寿命は211年だという。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!

気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを

ウイークデーの朝にお届けします。

ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

マクロスコープ:ディープシーク衝撃から半年、専門家

ビジネス

マクロスコープ:ディープシーク衝撃から半年、専門家

ビジネス

丸紅、25年4─6月期は8.3%最終増益 通期予想

ビジネス

財新・中国製造業PMI、7月は49.5に低下 予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中