最新記事

アメリカ政治

トランプの税制改革法案が下院通過 レーガン政権以来の抜本見直しへ一歩

2017年11月17日(金)14時30分

下院では13人の共和党議員が法案に反対。1人を除く全員が、税金が高く、SALT控除の廃止で住民が深刻な影響を受けると想定されるニューヨーク州、ニュージャージー州、カリフォルニア州の選出議員だった。

反対票を投じたリー・ゼルディン議員(NY州、共和党)は「闘いはまだ終わっていない。選挙区民のため、この提案を改善できるよう交渉を続けたい」と語った。

一方、投資家は税制改革の見通しを歓迎。下院の法案可決を受け、米国株式相場とドル相場は上昇した。パフォーマンス・トラスト・キャピタル・パートナーズ(シカゴ)のトレーディング部門ディレクター、ブライアン・バトル氏は、法案可決が「株式相場の上昇と債券相場の反転を支援している」と述べ、「税制改革は当然の結果というわけではないが、下院で最初のハードルは越えた。上院でのハードルはさらに高い」と話した。

共和党は以前から減税を約束していた。医療保険制度改革法(オバマケア)の廃止という約束を果たせなかっただけに、今回の税制改革法案の成立は、2018年11月の中間選挙で多数派を維持するために不可欠と目されている。

ただ、共和党の上院(定数100)における議席は52であり、他党との差は非常に小さい。

タイム誌によると、共和党上院のジェフ・フレーク議員(アリゾナ州)とジェームズ・ランクフォード議員(オクラホマ州)は、法案への反対を検討している同党議員4人に含まれているもよう。ランクフォード議員の広報担当者は、同議員は法案通過のため、他議員との協力を模索していると明らかにした。

トランプ大統領としばしば衝突し、来年の不出馬を既に表明しているフレーク議員は16日、ロイターに対し「財政問題を最も懸念している」と話した。

共和党によるオバマケア廃止に反対した同党(訂正)ロン・ジョンソン議員(ウィスコンシン州)、スーザン・コリンズ議員(メーン州)らも懸念を示しているという。

ジョンソン議員は、個人事業主やパートナーシップなどのいわゆる「パススルー企業」への税率が不公平だとして、法案への反対を公言。ロイターに対し、ホワイトハウスと協力して問題解決に努めていると述べた。

オバマケア改廃に向けた法案に反対票を入れた、共和党の重鎮ジョン・マケイン議員(アリゾナ州)や、同党のボブ・コーカー議員(テネシー州)、リサ・マーコウスキー議員(アラスカ州)も票決の行方の鍵を握るとみられている。

* 第7段落「共和党議員2人」を「3人」に、下から3段落目「共和党によるオバマケア廃止を阻止した民主党」を「共和党によるオバマケア廃止に反対した同党」に訂正します。

[ワシントン 16日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ビジネス

NY外為市場=円・スイスフラン上げ幅縮小、イランが

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中