最新記事

ビジネス

低迷スーパー「ホールフーズ」を買ったアマゾンの皮算用

2017年9月12日(火)17時30分
ウィンストン・ロス

だが、アマゾンに身売りしたことで、マッキーはホールフーズを救えるかもしれない。「(マッキーは)自由と、大富豪の後ろ盾を得た」と、スターンは語る。投資家はベゾスの手腕を大いに信頼しているから、ホールフーズが値下げに踏み切り不採算店を閉鎖して利益が一時的に落ち込んでも、株主は大騒ぎしないだろうとスターンはみる。

アマゾンは「ホールフーズに、今までやってきたことを続けてほしいと思っている」と、関係筋は言う。「(ベゾスが13年に買収した)ワシントン・ポスト紙のように、株主やオーナーの圧力から解放されて、自由で斬新なビジネスを望んでいる」

とはいえ、近隣の小規模農家から仕入れた生鮮品を、通常のスーパーよりも2~3割高い価格で売ってきたホールフーズのビジネスモデルは、徹底的な効率重視でライバルを蹴落としてきたアマゾンとは正反対に近い。

アマゾンの登場によって廃業に追い込まれた個人書店や小規模出版社は少なくないし、アマゾンのベンダー(販売業者)は、ばか高い販売手数料を取られて激怒している。「私が知るアマゾンのカルチャーは、人間味がなく功利主義的だ。ベンダーは骨までしゃぶられ、吐き捨てられる」と、ロゴフは言う。「ベゾスがホールフーズのカルチャーを守ってくれるといいんだが」

【参考記事】アマゾン+スーパー、宅配改革への大勝負

身売りでイメージを一新

ホールフーズの関係者からは、ルーツに立ち返ってやり直そうという声も聞かれるが、それは決して容易ではない。ホールフーズのルーツであるオーガニック自然食品の市場は、以前よりもずっと競争が激しくなっている。それなら「大人の会社」らしくコストを削減して、集中管理を強化しては? 「結構だが、それでは消費者をワクワクさせるという、昔ながらの魅力が失われてしまう」と、スターンは語る。

値下げもそんなに簡単ではない。「昔は、『ホールフーズは高い。でもその価値はある』という客が大半だった。でも今は『ホールフーズは高い。ぼったくりじゃない?』という人が増えた」とスターンは言う。「そう思われてしまったら、値下げしただけでは、信頼を回復するのは難しい」

その点、アマゾンによる買収は、大きなイメージチェンジになるだろう。アマゾンの成長見通しにとっても、ホールフーズの買収はプラスになる。「食品は小売業でも世界最大のカテゴリーだ」と、スターンは言う。アマゾンは7年前に生鮮食品配送サービス「アマゾンフレッシュ」を開始したが、アメリカではまだ5都市でしかサービスを提供できていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から

ワールド

ウクライナ和平交渉団が米国入り、トランプ政権高官と

ワールド

イラン指導者ハメネイ師、トランプ氏がデモ扇動と非難
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 6
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 7
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 8
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 9
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 10
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中