最新記事

ロシア疑惑

トランプ長男、ロシア疑惑の動かぬ証拠を自らツイート

2017年7月12日(水)20時43分
ミシェル・ゴールドバーグ

トランプのロシア疑惑は、今も分らないことだらけだ。辞任したマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が、ロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使との電話で一体何を話したのか。少なくとも、フリンはロシアに弱みを握られているとサリー・イエーツ前米司法長官代理が信じるに足る内容だったはずだ。

クシュナーはなぜ、12月にロシア政府と結びつきの深いロシア政府系銀行の頭取と接触したのか。また、クシュナーがロシア政府との間に秘密の通信網を作ろうとした提案の詳細も知らされていない。

【参考記事】弁護士グループがトランプ大統領を提訴、外国金脈を暴けるか

はっきりしているのは、トランプ陣営がアメリカと敵対する外国勢力からの助けを熱烈に歓迎したことだ。トランプ陣営が、ロシア政府の代理人との接触に関して繰り返し嘘をついてきたこともわかっている。ジュニアやクシュナーは、彼らの嘘をいつでも暴露できるロシア政府の命令に逆らえないだろうことも。

新たな事実が発覚したからといって、米議会で多数派を占める共和党議員が行動に出るかどうかはわからない。たとえ共和党が何もしなくても、自分たちまで無力に感じてはいけない。

トランプ政権発足後のみじめな半年間にはよく、ゆでガエルになったような気分にさせられたものだ。どんなに抵抗しようと、かつてなら考えられなかったような政治行動にも次第に慣れてしまう。

トランプの利益相反、ロシア疑惑を捜査していたジェームズ・コミーFBI前長官の解任、ロシアに機密情報を暴露して同盟国の情報機関を裏切ったこと、アメリカを国際社会の仲間はずれにしたこと......。

きっとトランプと側近たちは今回の新事実も、また不快でも新たな現実として受け入れてもらえると願っている。決定的証拠も証拠ではないと、我々に信じ込ませられると思っている。

議会共和党はどう出るか

楽観できる理由が1つある。これまでは、トランプ陣営幹部が米大統領選でトランプを勝たせるためにロシアと共謀したとする説には、本当らしさが欠けていた。状況証拠がどんなに出ても、トランプがロシアのウラジーミル・プーチン大統領の操り人形だという説明は突飛で、まるで3流のスパイ小説のようだった。多くの人が、ロシア疑惑を取り巻く嘘や、意図的に誤った方向付けや、匿名の聞き取りから、いつか全体の真相を掴むことなど無理だと感じていた。

しかし今、光明が差した。トランプの最側近がロシアと共謀する意図を持ち、その意図を示したメールを出しても罪には問われないと信じるほど軽率な感覚の持ち主だった。彼らは悪びれもせず、アメリカ国民に敵対的なロシアについた。今、最大の疑問は、議会の共和党も同じことをするかどうかだ。

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

© 2017, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官、週内にもイスラエル訪問=報道

ワールド

ウクライナ和平へ12項目提案、欧州 現戦線維持で=

ワールド

トランプ氏、中国主席との会談実現しない可能性に言及

ワールド

ロの外交への意欲後退、トマホーク供与巡る決定欠如で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中