最新記事

アメリカ政治

トランプの長女イバンカはLGBTを裏切った

2017年7月28日(金)18時40分
ジャニス・ウィリアムズ

首脳外交の場にもよく表れるイバンカだが正義への影響力はゼロ? Carlos Barria- REUTERS

今年6月、ドナルド・トランプ米大統領の長女でトランプが最も信頼する大統領補佐官の1人であるイバンカ・トランプ(35)は、LGBT(同性愛者などの性的少数者)を支持するメッセージをツイッターに投稿した。LGBTの権利向上を訴えるプライド月間に寄せたものだ。

3月に実業家からホワイトハウス職員に転身したイバンカは、「私たちの社会や経済に多大な貢献をしてきた」LGBTの友人やアメリカ人同胞を「誇りに思う」とツイッターに書き込んだ。さらに「joyful #Pride 2017」というハッシュタグを付け、プライド月間の6月は「LGBTQ*コミュニティーを祝福し敬う」ための時間だと宣言した。

【参考記事】イバンカのアパレル工場は時給1ドルのブラック企業だった

LGBTQの友人やアメリカ人同胞を誇りに思う。彼らは私たちの社会や経済に多大な貢献をしてきた。


だが今週の水曜、イバンカはLGBTに対する誇りを自ら傷つけた。心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人々の米軍入隊を禁止するとトランプが発表しても、だんまりを決め込んだのだ。

【参考記事】トランプのシリア攻撃は長女イバンカの「泣き落とし」のため?

トランプは一連のツイッターで、「米政府は米軍のいかなる役務でもトランスジェンダーを入隊させない」と表明。米政府が「トランスジェンダーの入隊に伴う莫大な医療費(性転換手術のことなどを言っているとみられる)や混乱の負担を賄えない」ことを理由に挙げた。発表直後、米議会やLGBTの支援者をはじめ、全米から一斉に非難の声があがった。

イバンカに逆風

トランプが禁止を発表して間もなく、イバンカに逆風が吹き始めた。ホワイトハウスの決定に何ら影響を及ぼせないイバンカの無能ぶりを、多くの人が疑問視したのだ。

イバンカ・トランプほど影響力のない女性はいない。父親のおかげで分不相応な仕事に就いたのはいいけど、影響力はゼロ


イバンカはLGBTの権利の擁護者を自任するだけでなく、昨年の米大統領選挙中は男女平等や温暖化対策への取り組みを強く支持し、過激な父トランプの説得役になることを期待されていた。だがいざ政権入りしてみると、温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」からの脱退を止められなかった。女性の権利を擁護し人工妊娠中絶や避妊薬の処方などを行う非営利団体「プランド・ペアレントフッド(家族計画連盟)」への連邦補助金の1年停止案も止められなかった。

*LGBTQ=レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョニング(性的志向が定まっていない人)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中